TAKARATOMY GROUP CSR
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タカラトミーに期待すること
-有識者との対談ー

参加者

河口 真理子氏大和総研 調査本部 主席研究員

一橋大学大学院修士課程修了後大和証券入社。外国株式、投資情報部を経て大和総研に転籍、アナリスト、翻訳業務、環境コンサルタント、CSR及び社会的責任投資の調査研究に従事。2010年より大和証券グループ本社CSR室長~広報部CSR担当部長。2011年大和総研に帰任、2012年より調査本部 主席研究員。担当分野はサステナブル投資/ESG投資、CSR/CSV、ソーシャルビジネス、エシカル消費。国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン理事、NPO法人・日本サステナブル投資フォーラム共同代表理事。アナリスト協会検定会員、サステナビリテイ日本フォーラム評議委員他

■タカラトミー

沓澤 浩也CSR推進プロジェクトオブザーバー
常務執行役員 連結管理本部長

菅谷 茂美CSR推進プロジェクトリーダー

竜野 聡
長野 紫穂CSR推進プロジェクト事務局

写真中央:河口 真理子氏
(写真中央:河口 真理子氏)

Expert Talk

フレームワークを作り、全員参加の推進体制を

河口:御社の強みは、日本人で知らない人はいないということ。説明しなくてもみんなが子どものころから知っていて、懐かしい感じがする。その強みを活かして、何を訴えかけるのかが大事です。弱みは、まだCSRの取組みを始められたばかりで、体系立っていないこと。CSR戦略のフレームワークが見えないので、外からは何をしているのか分かりにくい点が課題です。世界が直面する社会課題を網羅したSDGsなどを組み込んでフレームワークを作ると、動きやすくなるはずです。
また推進体制として、各部署にインフルエンサーを置くことは重要です。CSRの専任部署を作るのも一案ですが、その部署に全て任せがち、他はタッチしないという傾向がみられるので、各部署の担当がメンバーとして参加し、全員でコミットする、横断的なプロジェクトチームを継続していかれるとよいと思います。ただCSR担当は事務局運営をやることになりますが、SDGsをカバーするとなると、やることがたくさんありますので、事務局自体の機能は強化した方がよいでしょう。

タカラトミー:CSR推進プロジェクトとして、1年目はグループ全体から幅広くメンバーを選出し、20名以上が参加する体制でやってきたのですが、基盤ができたので、2年目からはより小回りが利く人員体制とすることを考えています。フレームワークを作っていく上では、どういう枠組みにしていくことが重要でしょうか?

河口:先進的な企業では、2050年にCO2ゼロといった長期ビジョンを掲げる企業が出てきています。御社の場合は、2024年の創業100周年を見据えてはどうでしょうか。たとえばSDGsの目標から自社の活動と特に関わりの深い課題を見つけ、その解決につながる数値も含んだ目標を立てていく。
目標を立てたら、社内で共有することが大事です。CSR関連の質問が個別の部署に来た場合にも、CSR部署ではなくその部署の担当者がしっかりとした答えを返せる形が理想です。

注目すべき課題

河口:特に注目すべき課題としては、サプライチェーンでの労働環境、児童労働などの人権問題です。おもちゃ業界でもキャラクター製品の下請け工場で児童労働があり、社会問題になったことがありました。アパレル業界では、バングラデシュの縫製工場の事故から下請け工場の劣悪な労働環境が明るみに出て、業界全体での改革を迫られています。NGOは企業に対してネガティブキャンペーンを張る場合、ストーリーが分かりやすく発信の効果が高い企業に注目しています。おもちゃ、特に御社の製品はみんな知っているし、下請け工場でのリスクはあると思います。おもちゃを作っている工場のトレーサビリティを高めていく必要があります。

タカラトミー:アジアの工場はほぼ毎月訪問し、コミュニケーションをとるようにしています。社会からの要請と、労働者の希望との双方に耳を傾けながら、働きやすい職場環境を実現していくことが重要だと考えています。

河口:そういう情報は是非積極的に公開されるとよいと思います。いかに透明性をあげているか、サプライチェーンを配慮しているか、は重要です。
そしてダイバーシティも重要なテーマです。社長が外国籍なのはダイバーシティの観点からとてもよいのですが、役員が全員男性という点が気になります。女性の役員がいない=ダイバーシティがない、と思われてしまう可能性があります。現在、様々な業種、業態で女性の役員が活躍しています。御社の経緯をみるとおもちゃ作りの職人文化があったから、という事情だと思いますが、子どもの教育に関わる業界でもあることを考えると、役員の半分以上が女性でも良いくらいと思います。

タカラトミー:女性管理職については、2021年に比率を全体の15%にする目標を設定しました。課題意識を持って、短期と中期、両方の視点から取組んで行こうと思います。

河口:さらにこれからは、資源の問題にも注目していただきたいです。どういう資源を使うか。素材はこのままでいいのか。遊ばなくなって不要になったおもちゃをどうするのか。おもちゃは簡単に捨てられないし家電のようなリサイクルシステムもないです。また海洋汚染につながる廃プラスチックの問題は国際的にも関心が高まっています。長期的な視点から、資源や廃棄物のリサイクルについて、考え方や目標を示していただきたいです。

タカラトミーグループへの期待

河口:おもちゃづくりで培ってきたノウハウを活かし、社会・環境問題の解決に資するおもちゃやゲームを開発する、といった取組みに期待しています。学校教育で使える社会課題の理解につながるゲームや、働く親を支援するおもちゃなど。専門家と一緒にシニア向けの製品を開発し、老人ホームなどで使っていただきながら科学的なデータを蓄積していくのもよいと思います。おもちゃは考えてみると、深いもので、使い方によっては意識変革にはすごく有効なツールではないでしょうか。遊びを通じて学ぶと、どんどん頭に入りますよね? 遊び心を通じてできることはたくさんあります。CSRはまじめな勉強・義務と思われがちなので、おもちゃを使った楽しい取組は「タカラトミーならでは」と、高く評価されると思います。
御社ではロングセラー商品を多くお持ちですが、時代の変化に合わせて、次の25年、50年を見据えて考えることは大事です。トミカやプラレール、リカちゃんのように親から子へと時代をつなぐおもちゃがあるのは、素晴らしいことです。社員の方々と「今の子どもたちが大人になった時に、次世代にどんなおもちゃを与えたいか」という発想を持ってもらうとよいです。それが、タカラトミーらしい社会を変える活動につながっていくはずです。

タカラトミー:お話を伺い、おもちゃは遊びのためのものですが、社会の課題解決にもつながるいろいろな付加価値をつけられると感じました。活動は一つ一つ積み重ねていくしかないですが、95周年、100周年、さらにその先を見据え、タカラトミーらしい活動に取組んでいきたいと思います。

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