~戦いを終えて~

プレイヤーコメント集(ライター:からばこ)

数々の激闘が繰り広げられた夢限少女杯。
己の力を尽くして戦った選手たちの表情を、言葉と共にお届けする。

誰にも負けないくらいやってきた~優勝・シロネコ選手

「今まで自分の中で納得の行く結果がなかったから、つながってよかった」

『本日の主役』と書かれたタスキを胸にし、見事主役になったシロネコ選手。ここまでの道のりにかけた思いには、並々ならないものがあった。
白単リメンバ、ダッシュヒラナ、ウトゥルスノヴァ……。確かなデッキビルディング力で、数多のアーキタイプを環境入りさせてきたシロネコ選手。「よいデッキをありがとう、ってよく言われます」と、作ったデッキには自信が現れる。だが大型大会で、自らの手で、自らのデッキと共に入賞することは、ほとんどできなかった。

「ほんっとうに第1弾からやっていますけど、(過去3回の)世界大会に出場できていないし、出場権をつかめたと思ったらコロナで中止になったし、ディーヴァグランプリは勝てないし……」

届かなかった舞台を指折り数えるシロネコ選手。
彼の言葉を聞きながら、私はある風景を思い出していた。2022年5月に行われたディーヴァグランプリ2nd。予選落ちに終わったシロネコ選手が、会場外のソファで、顔を腕で覆い、座り込んでいた姿だ。
常に陽気なテンションで、パーティーボーイとも評されるシロネコ選手。自分の負けに声を荒らげることはあっても、悲しんだり、落ち込んだりする姿を見たことはなかった。そんな彼が、どうしようもなく打ちのめされていた。彼の親しい友人の一人が真剣に「今はそっとしてあげて」と言うほどに。
それほどまでに勝利を求め、だからこそ、その敗北が突き刺さったのだろう。

その姿を知っているからこそ、今回の栄冠がより眩しく見える。
優勝インタビューで彼が口にした「ウィクロスは人生」という言葉。
その言葉にたどり着くために、彼が積み重ねた日々たるや。

「ウィクロスにいっぱい時間をかけてきた。誰にも負けないくらいやってきた。率直に、よかったなって」

ホッとしたシロネコ選手の笑顔には、激闘の余韻がまだ残っていた。

この4か月で、明確に成長できました~準優勝・ぽっきー選手

「ちょっと前までは初心者というか、大会で結果を残すなんてことは全然ありませんでした。ここ数週間で、ぽんぽんと勝てるようになって……」

夢限少女杯直前のディーヴァグランプリ4thで優勝し、夢限少女杯本戦では2位。
ぽっきー選手は自分自身の足跡に、「自信は多少あったけれど、驚きもありますね」と素直に語った。
そんな彼のウィクロス歴は約3年と、本戦参加者16人の中では、最もプレイ歴の短いプレイヤーの1人だ。

彼の周囲には猛者がそろう。普段は本戦ベスト8のわっく選手を中心に、ベスト4のゆきちゃん選手やベスト16のリク選手たちと共に所属するコミュニティで、腕を磨き、ウィクロスを楽しんでいる。
「強い人の考え方やプレイに間近に触れて、自分のプレイを見てもらって、間違いがあったら教えてくれました。強い人たちと仲良くなれたのは大きかったです」と振り返る。
夢限少女杯が発表されたとき、ぽっきー選手は「腕試しになる」と意気込んだ。
ハードな4か月を乗り越え、掴み取った本戦への出場権。残した結果は、”師匠”とも言える仲間たちを超える準優勝。「今は負けた悔しさが大きいけれど、この4か月で明確に成長できました」と噛みしめる。

彼がウィクロスに触れたきっかけは、にじさんじコラボ弾「アンリアリスティック」。12月末の「にじさんじDIVA」発売を機に、初めてウィクロスに触れる人が増えるだろう。そんな未来の仲間たちに、ぽっきー選手は言葉を送る。

「勝ちにこだわったり、好きなルリグを極めたり……。いろいろな楽しみ方があるウィクロスを、自分なりの楽しみ方で、長く遊んでほしいですね」

またたく間に強豪と肩を並べる実力を身につけた、ぽっきー選手のこれからに注目だ。

多くのデッキに触れた日々~ベスト16・コーヒー選手、ベスト8・イシイ選手

大舞台にどのデッキを持ち込むか。参加した16人でバンを唯一使用したイシイ選手は、同じく本戦参加者のコーヒー選手と、大会前に”稽古”に励んでいた。

「11月は知識を広げる日々でした」とコーヒー選手は振り返る。
ディーヴァグランプリ4thに向けて友人たちとオンラインで特訓する中、イシイ選手もそのコミュニティに顔を出すようになった。グランプリ後は本戦に向け、2人でどのデッキを使うか、さまざまなルリグを試したという。コーヒー選手は使い慣れたリメンバを、イシイ選手は注目していたバンを持ち込んだ。

コーヒー選手といえば予選期間中、全国各地のセレモニーを飛び回っていた姿が印象的だ。関東のセレモニーにいたかと思えば、翌日は九州でその姿を見ることも。過酷ともいえる日々を終え、「今日で一区切りで、ちょっと一休みするつもり」と、さすがに疲れを隠せない様子だ。
それでも「新しいカードや流行のデッキを見ているうちに、またモチベーションが湧くだろう。心の赴くままに過ごしたいですね」と語る。彼の全国行脚が再び見られる日も近いかもしれない。

一方、コーヒー選手と共に最終調整を重ねたイシイ選手。ベスト8という自身の結果を「もっと上に行きたかった」と悔やみながらも、「みんなが使わないデッキで勝てるのは誇らしいです」と胸を張る。
デッキリストには洗練の余地が残されているようで、これから更に磨かれていくことだろう。

「練習で色々なルリグに触れたのが印象的ですね」というイシイ選手の言葉が意外だった。
オールスターではドーナ、ディーヴァセレクションでは原子デウスを使い続け、特にドーナでは全国トップと言える実績を誇る、一点集中型のプレイヤーだからだ。
「これからはもっと多くのデッキに触れてみたい」と語る彼の瞳は、どこか輝いていたようにも見えた。

自分に足りないのは勝負強さ~ベスト16・アカバ選手

予選を3位で通過し、1回戦でhyakko選手と激闘を繰り広げたアカバ選手。対戦の模様はカバレージにも残されているが、やや不運に見舞われた内容だ。
レベル2での3点要求が止まらなかったり、《みこみこ☆ずばしゃーん》に備えて《サーバント #》を2枚確保しようとしてできなかったり。どうしようもない要素に振り回され、涙をのんだ。そんな1戦を彼は「ここ一番の勝負強さが、あまりにも足りない」と受け止める。

「ディーヴァグランプリ3rdでベスト8で終わったときもそうだが、勝負強さが足りない」とアカバ選手は繰り返した。「プレイングの腕は上げられるところまで上げたつもりだし、ここに来た選手全員がそう。差は勝負強さだ」と噛みしめる。
「運が悪かった」と手放すことは簡単だし、楽だろう。しかしそれでは先に進めない。「次のこういう機会に向けて、自分自身を見つめ直したい。プレイスタイルやデッキ選択が正しかったか、答え合わせをしたい」と、アカバ選手はストイックだ。

「関西のみんなには『運を分けてくれ!』とお願いしたんですけどね。勝ちたかったなあ」

積み上げてきた実績と経験。敗北も糧にしながら、彼は更に高みを目指す。

みんなに育ててもらいました~ベスト16・リク選手

準優勝のぽっきー選手と同じく、3年で急成長したプレイヤーがもう1人いる。「アンリアリスティック」でウィクロスを始め、彼と同じコミュニティで腕を磨いたリク選手だ。
ディーヴァグランプリ3rdで4位入賞の相棒、エクスと共に、予選期間を駆け抜けた。
「ここまで来たので勝ちたかった」と悔しさをにじませるが、その表情はどこか晴れやかだ。

「とにかく場数を踏んで、出られる大会には全部出るようにしていました」。ただ大会に出るだけではなく、対戦相手とバトルの内容を振り返る「感想戦」や、意見交換を重ねたりと、貪欲に学び続けた。
「セレクターさんは優しい人がとても多いので、コミュニケーションを積極的に重ね、どんどん友人を増やしました。強い人が多くいる秋葉原で、みんなに育ててもらいましたね」とリク選手は笑顔を見せる。

彼もぽっきー選手と同じく、にじさんじコラボ弾「アンリアリスティック」でウィクロスを始めたプレイヤーだ。
コラボでウィクロスを始めるだろう未来の仲間たちに、送る言葉を聞くと、こう返ってきた。

「カードゲームは相手がいて遊ぶもの。仲間や友達を作って、コミュニティの輪をどんどん広げてください。セレクターさんは優しい人が多いので、緊張しないで大丈夫ですよ」

仲間に育てられた彼が、次は誰かを育てる。
こうしてウィクロスは続いていくのだ。

終わりに

7月の予選に始まった夢限少女杯は、さまざまなドラマと共に、4か月の長い長い戦いが終わった。
戦いの余韻の中、選手は、観客たちは、三々五々にそれぞれの日々に戻っていく。


そしていつの日か、再び戦いの幕が上がるだろう。
その時は激闘の様子を、またこうして言葉に残したいものだ。

タカラトミーモール