コラム
2026.08.28
【観戦記事】 決勝:むっしーマウス vs. しゆ ~「物語のはじまり」~
日本でのディズニー・ロルカナ・TCGの総決算にあたる「ディズニーロルカナ日本一決定戦 2026」(以下、日本一決定戦 2026)。決戦の舞台は「夢の国」、東京ディズニーリゾートにあるディズニーアンバサダーホテル。

総勢57名のイルミニアが予選9回戦を戦い、その内8名のみが2日目へと進出。現在、決勝トーナメント2回戦を終えて、残るイルミニアは2名のみとなった。
決勝戦まで勝ち進んできたのは、むっしーマウス選手と、しゆ選手(以下、敬称略)。
日本一をかけて、決勝を戦う2人のイルミニアを紹介しよう。
イルミニア紹介

まずは西よりの使者むっしーマウス。予選ラウンドを5位で通過している。
活動拠点にあげたカードショップはっちは勤務先でもあり、公私ともにカード漬けの日々がうかがえる。
使用するのは「ルビー/サファイア」のコントロールデッキ、通称アイテムズ。友人たちとの練習で勝率が一番高かったデッキとのことだが、公開制ルール下では柔軟にマリガンとゲームプランを遂行できる戦略といえる。
《モーリスの工房》と《BE PREPARED》は多大なるアドバンテージのみならず、勝利を届けてくれるだろうか。

対するは「エメラルド/スティール」を選択した東京都のしゆ。手札破壊を主戦略としながらも、《パラダイスの滝 – エキゾチックな目的地》と《TOUCH THE SKY》のコンボを搭載した、ダイナミックな構築となっている。
ロルハッピーの店員としても知られており、こちらも日夜カードの研鑚を積んでいることだろう。
さらに今大会に向けては普段のコミュニティーのみならず、日本一決定戦 2026への参加者同士で練習してきたとのこと。
準決勝ではケンとのミラーマッチを歌+《マックス・グーフ – 反抗期のティーン》+《ミューズ – アートとヒーローの専門家》のコンボでもってゲームをロックし、勝利した。
決勝では《ディアブロ – 忠実なる使い魔》と《アースラ – 七つの海の騙し屋》の定着、《パラダイスの滝 – エキゾチックな目的地》と《TOUCH THE SKY》のコンボを狙いたいところか。
しゆが勤務先であるロルハッピーのTシャツを持っていると、
「決勝なので持ちませんか」
どちらかともなく発案でTシャツを持ち、和やかな雰囲気で席につく。

さわやかなグータッチをかわすと、ロルカナ日本一をかけた決勝戦が始まる。

ゲーム1
先手はむっしーマウス。マリガンで4枚、しゆは2枚を入れ替える。
しゆ「がんばりましょう」
しゆは《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》で手札を検閲し、後のゲームプランをたてる。むっしーマウスの手札にはインクブースト、《乱闘》と安定した内容。
むっしーマウスは《リキッデーター – こおりゃ結構!》を埋めると、インクブーストではなく《バジルの虫眼鏡》を設置し、後のアドバンテージ源を確保。

しゆは《アースラ – 騙し屋》で《BE PREPARED》を捨てさせるも、《乱闘》を意識せざるを得ない。
むっしーマウスは《アズライト航海記》をセットインクすると《モーリスの工房》を続ける。無理にインクブーストせず手札を増やし、手札にカードを抱えることで手札破壊戦略自体を無効化する狙いがある。
この《モーリスの工房》が引き金となり、しゆは《アースラ – 七つの海の騙し屋》から《昔ながらのこの営み》をプレイし、アイテムズの動きを止める。

そう、止まるはずだった。普通のアイテムズならば。
むっしーマウスはほとんどの行動を封じられたが、設置済の《バジルの虫眼鏡》を起動し、《魚の骨ペン》を手札に加える。2ターン目の《バジルの虫眼鏡》はこの展開を見越してのプレイだったのだ。

対してしゆはストレートに4コストまで伸ばすと《背すじがゾクッ!》を《アースラ – 七つの海の騙し屋》で二度歌い、一気にリソースを枯らしにかかる。《シスー – 兄弟姉妹の希望》と《魚の骨ペン》が捨て札へと落ちる。
2枚目の《アースラ – 七つの海の騙し屋》を続け、これでキャラクターは4体。このしゆ、ノリノリである。
むっしーマウスは《乱闘》で《アースラ – 七つの海の騙し屋》1体を除去。じっくりとインクを増やし、来るべき時を待つ。
しゆは《レニー – おもちゃの双眼鏡》で《乱闘》2枚目を奪い、手札はアイテム1枚のみに。全力でクエストし7ロアへ。
ここで我々は《モーリスの工房》の恐ろしさを思い知ることになる。たった1枚だった手札から《アイスポー》がプレイされ、実質2ドロー。さらに《バジルの虫眼鏡》を起動し、手札を補充する。
しゆはクエストし、10ロアまで伸ばすと《ミューズ – アートとヒーローの専門家》をプレイ。先ほど見た手札に《BE PREPARED》はなかった。仮に《シスー – 兄弟姉妹の希望》があったとしてもあと2回クエストのチャンスがある。それまでに稼げるだけロアを稼ぎ逃げ切る、その目論見からだった。
しかし、現実は非情である。
ここでむっしーマウスの《BE PREPARED》が突き刺さる。

しゆは《ディアブロ – 石使いの召使い》でゲーム再開するも、その足取りは重い。
むっしーマウスは《タマトア – シャイニー!》で《アイスポー》と《魚の骨ペン》を即座に回収。《モーリスの工房》により淡々とドローを進める。
《アースラ – 騙し屋》をプレイするが、そこには絶望が広がっていた。


しゆが逃げ切るにはロアはまだ不十分だ。リソースは枯渇気味で立て直すにはあまりにも厳しい。
しゆ「《BE PREPARED》の2枚目は割り切ってました」
20ロアを待たずして、しゆは敗北を受け入れた。
むっしーマウス 1-0 しゆ
しゆ「最後手札みたときは絶望しましたね」
むっしーマウス「あれは返せないですよね」
ゲーム2
先手はしゆ。しゆは4枚、むっしーマウスも同じく4枚をマリガン。

待望の先手を得たしゆだが、その足取りは重い。《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》で手札をチェックすると、
《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》×2、《乱闘》、《バジルの虫眼鏡》
干渉手段とリソースの両方が揃っている。
しゆは《ディアブロ – 石使いの召使い》プレイから《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》を《ディアブロ – 忠実なる使い魔》へと即変身。ターンを渡すと“遠くまで飛んでお行き”が誘発し、手札は3枚に。
むっしーマウスは迷いながら《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》で盤面のプレッシャーの対処にかかる。気がかりなのは《持つんだ熱い心》の有無だ。
しゆは《ピート – リングのレフェリー》で《乱闘》を封じ、《ディアブロ – 石使いの召使い》でクエストして《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》からのチャレンジを誘う。

むっしーマウスはこれを受け入れ相打つ。一旦盤面のプレッシャーが解放されるが、すぐに2体目の《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》が続く。
なかなか《ディアブロ – 忠実なる使い魔》が安全にエグザート状態にできず、しゆの手札が伸びない。
次なる脅威として《アースラ – 七つの海の騙し屋》をプレイ。《ピート – リングのレフェリー》でクエストへ向かい、再び《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》を誘う。
むっしーマウス「手札、1枚ですよね?」
確認後、《乱闘》で《ディアブロ – 忠実なる使い魔》を対処すると、《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》と《ピート – リングのレフェリー》の交換を受け入れる。
しゆは《昔ながらのこの営み》をプレイするが、1ターン遅い。頼みの《ディアブロ – 忠実なる使い魔》はもういない。クエストし、地道に、着実にロアをためていく。
対してむっしーマウスはセットインク、エンド。
ここからはややゆっくりとした時間が流れていく。

拮抗を破ったのはむっしーマウスだった。もはや不要と3枚目の《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》をインクに埋めると《モーリスの工房》をプレイ。さらに《モーリスの工房》の2枚目が続き、悪夢のリソースエンジンが動き出す。《バジルの虫眼鏡》と豪華3枚のアイテムが並ぶ。
《生命の宝球》からドローが連鎖し、さらにアイテムを倒して《スクルージ・マクダック – 抜け目ない守銭奴》が登場。むっしーマウスのリソースは途切れず、《生命の宝球》で突進を付与し、《アースラ – 騙し屋》へとチャレンジする。

この間にしゆができたのは《風よ吹け》を自分の《アースラ – 騙し屋》へ打ち込みドローを進め、《背すじがゾクッ!》で手札を捨てさせ、《ミューズ – アートとヒーローの専門家》を展開するのみ。
むっしーマウスは《魚の骨ペン》をプレイすると《モーリスの工房》が稼働する。アイテムプレイするとドロー、ドロー、《魚の骨ペン》でセットインクをひとつの動きとして、ドンドンリソースが伸びていく。手札もインクも2倍速で増える。
この絶体絶命の状況で、しゆのもとへ一筋の光が。突如として《パラダイスの滝 – エキゾチックな目的地》が訪れ、即座に《TOUCH THE SKY》を歌い、《ミューズ – アートとヒーローの専門家》を移動させ一気に4枚をドロー!
ドローしたなかに《昔ながらのこの営み》があり、事実上、むっしーマウスの行動をロックする。


むっしーマウスは《パラダイスの滝 – エキゾチックな目的地》の耐久コストを確認すると、《スクルージ・マクダック – 抜け目ない守銭奴》で《ミューズ – アートとヒーローの専門家》へチャレンジ。
そして《タマトア – ゴージャス!》をプレイして《生命の宝球》を手札へ加えると、元々あった《生命の宝球》を起動して突進を付与し、ロケーションを退場させる。
《バジルの虫眼鏡》を起動すると、デッキトップには《ラッキーダイム》が。

しゆ「手札は?」
むっしーマウス「5枚です」
しゆは《ディアブロ – 忠実なる使い魔》と《アースラ – 七つの海の騙し屋》をプレイする。
むっしーマウスは深く息を吐くと、まずは《生命の宝球》で《モーリスの工房》を稼働させて2ドロー。《タマトア – ゴージャス!》がクエストすると一度に6ロアを獲得する。
反撃の芽を摘む《シスー – 兄弟姉妹の希望》が盤面をリセット。

しゆは《風よ吹け》で《スクルージ・マクダック – 抜け目ない守銭奴》を退場させ、《アースラ – 騙し屋》で《BE PREPARED》を抜く。最後までプレイを続ける。
むっしーマウスはさきほどの《ラッキーダイム》をプレイ。
《タマトア – ゴージャス!》でクエストして8ロアを獲得し、16ロアへ。
《ラッキーダイム》を起動すると、勝利を掴み取った。

しゆ「完敗です。ありがとうございました」
最後まで、しゆはさわやかにゲームを終える。
むっしーマウス 2-0 しゆ
勝者: むっしーマウス

日本一をかけた最後の一戦を終えて、やっと肩の力が抜けたようだ。両者はこの対戦をどうみていたのだろうか。
しゆ「色的にはロア獲得速度が遅いため不利かなと。手札破壊に寄せていれば先攻から五分。《パラダイスの滝 – エキゾチックな目的地》と《TOUCH THE SKY》のコンボはルビー/サファイアのようなロケーションの対処を苦手とするマッチアップに効果的だと考えました」
実際、《パラダイスの滝 – エキゾチックな目的地》と《TOUCH THE SKY》のコンボは決まった。だが、あまりにも機を逸していた。
このコンボ自体、しゆはロルハッピーのイルミニアから教わったという。柔軟に意見を取り入れてデッキを最適化し、見事に決勝まで勝ち進んだ。
しかし、あと一歩が遠かった。
しゆ「デッキ公開制だから《BE PREPARED》の枚数もわかっていて。《アースラ – 騙し屋》で捨てさせたのもあって、強気に《ミューズ – アートとヒーローの専門家》をプレイして、ロアを狙いましたが」
狙いは間違っていなかった。ただ、むっしーマウスのドローはそれを上回った。
一方、むっしーマウスは来るべき決戦に備えて《モーリスの工房》と《バジルの虫眼鏡》で手札を蓄えていた。手札破壊されたとしても残るように、常に3枚前後をキープしていた。
むっしーマウス「全力でインクブーストするのではなく、常に手札を3枚くらい抱える必要があります」
本来ならば動きを止め、まるまる1ターン飛ばしとなるはずの《昔ながらのこの営み》も、《バジルの虫眼鏡》の起動ターンにあてられてしまった。
むっしーマウス「《バジルの虫眼鏡》は対『エメラルド/スティール』ではキープ基準になりますから」

勝負をわけたのは2ターン目の《バジルの虫眼鏡》。先の先まで読むゲームプランがそこにはあった。
そして、ゲームを掌握する《BE PREPARED》へ。
「物語のはじまり」から続く《BE PREPARED》は、今もなお支配的な1枚である。
《モーリスの工房》と《バジルの虫眼鏡》のおかげで手札が途切れず、《タマトア – ゴージャス!》が圧倒した。
圧倒的なアドバンテージと全体除去が織りなす、ド派手なゲーム。「ルビー/サファイア アイテムズ」は、まさに王者のデッキと呼ぶに相応しい。
日本一決定戦 2026が終わり、初代日本一が決まった。
さて、2日間にわたる「夢の国」での楽しい時間はもう終わり。
そろそろ現実世界へと戻らないと。

「夢の国」をすごした一人のイルミニアから、
現実世界で日本一のイルミニアへと姿を変えなければ。
ここからむっしーマウスの、日本一としての物語がはじまる。
勝者へ祝福の言葉で、今大会を締めくくろう。

「ディズニーロルカナ日本一決定戦 2026」優勝は、むっしーマウス選手!!
おめでとう!!
ライター:富澤 洋平 撮影者:福井 翔