コラム

2025.06.06

【戦略記事】デッキテク:ゆうが選手の「アメジスト/サファイア」 ~瞬間凍結で場を支配せよ~ 

日本初開催の大型競技大会となったディズニー・ロルカナ・TCGの祭典「ディズニーロルカナ グランプリ 2025 Spring 東京」(以下、ディズニーロルカナ グランプリ)。 

約1000名のイルミニアは、各々工夫を凝らしたデッキを持ち込み、予選ラウンド全7回戦によって決勝トーナメント進出を競い合いました。 

決勝トーナメントへ進出したのはわずか64名。 

そして、激戦を勝ち抜いたプレイヤーはさらなる対戦へと赴きます。 

64名から32名を決めるラウンドにおいて、目を引く珍しいカラーコンビネーションのデッキがありました。 

《ミッキーマウス – 名探偵》でインクを増やし、早期に《エルサ – 冬の精霊》をプレイして場の優位を確立するデッキでした。アメジストお馴染みの《マーリン – ウサギ》と《マダム・ミム – ヘビ》のパッケージも採用されており、手札とインクが潤沢にあり、実に優雅な戦略に感じました。 

今回は見事Top32入りを決めたゆうが選手のアメジスト/サファイアを解説していただきました。 

上位進出者のデッキ選択はTOP32 メタゲームブレイクダウン で紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。 

デッキURLはこちら

アメジスト/サファイアとは 

──「アメジスト/サファイアとはどんなデッキでしょうか」 

ゆうが「プレイしたときに効果を得るキャラクターを出し、《マダム・ミム – ヘビ》や《マダム・ミム – キツネ》で回収し、インクブースト(インクを増やす効果)したりや手札を増やしたりしていきます。インクが5まで到達すれば《ピノキオ – おしゃべり人形》と《マダム・ミム – キツネ》で一方的にチャレンジして場を有利にしていきます」 

《マダム・ミム – ヘビ》 

ゆうが「インクブーストから早期に《ハデス – 冥府の策謀家》や《エルサ – 冬の精霊》などの高コストのキャラクターをプレイし、相手のキャラクターへ干渉しつつロアレースで追いついていきます。これらのキャラクターも《マダム・ミム》で手札へ戻すことで、プレイしたときの効果を使い回していきます。高ロアのキャラクターが並ばないため、相手視点では《BE PREPARED》などのアクションカードを使いにくくなります」 

《エルサ – 冬の精霊》

デッキ選択の理由 

──「このデッキの選択理由を教えてください」 

ゆうが「友人がアメジスト/ルビーを使っていたこともあり、被らないように別のカラーリングを探しました。『フラッドボーンの渾沌』から加わった強力なキャラクターである各《マーリン》《マダム・ミム》をセットで使うことは決定していて、もう1色としてたどり着いた先がサファイア。インクブーストから《ハデス – 冥府の策謀家》や《エルサ – 冬の精霊》が強力であり、アメジスト/ルビー対策として《ラッキーダイム》を採用できるのも決め手でした」  

《ラッキーダイム》

デッキ詳細 

──「デッキの強みやキーカードとしてはどんな点があげられますか」 

ゆうが「序盤からキャラクターを展開して場に睨みを利かせつつ、《マダム・ミム – ヘビ》などで回収し、さらに《ミッキーマウス – 名探偵》でインクブーストしてからの高コストキャラクターへ繋げます。相手よりも早いターンに高コストキャラクターを場に出せるのは明確な強みです」 

《ミッキーマウス – 名探偵》 

ゆうが「また、こちらの高コストキャラクターに対してアメジスト/ルビーが《BE PREPARED》や《マレフィセント – 怪物ドラゴン》で退場を狙おうとしても、《マダム・ミム – ヘビ》などで手札へ戻し回避できます。相手視点では《BE PREPARED》を適切なタイミングで使うのが難しく、その隙にロアを稼げます」 

デッキリストの変化と工夫 

──「どのようにしてこのデッキを構築したのでしょうか。工夫した点などはありますか」 

ゆうが「アメジスト/ルビーの《ミニーマウス – シックなサーファー》でロアレースを逃げ切られないように意識しました。《クルエラ – ファッショナブルなドライバー》と《パスカル – ラプンツェルの親友》+《マーリン – カニ》の組み合わせで回避キャラクターへチャレンジできるように工夫しています。もちろん、《パスカル – ラプンツェルの親友》自身はロアレースをリードする役割もあります」  

《クルエラ – ファッショナブルなドライバー》

ゆうが「相手のキャラクターへチャレンジしたり、《ハデス – 冥府の策謀家》でインクへ埋めたりと場の取り合いは得意ですが、ロア値の低いキャラクターが多く、ロアレースで後れを取りがちです。有利な場を築いた後、一気にロアレースをひっくり返せるように《マダム・ミム – 紫の竜》や《エルサ – 冬の精霊》といったコストの重い、高ロア値のキャラクターを採用しています。《マダム・ミム – 紫の竜》のデメリットは重く感じるかもしれませんが、1枚で複数のキャラクターのプレイしたときの効果を使い回せ、さらにこれ1枚でアメジスト/ルビーの《BE PREPARED》からキャラクターを守ってくれます」 

《マダム・ミム – 紫の竜》

──「《うろたえるのじゃ!》はどのような目的で採用しているのでしょうか」 

ゆうが「《うろたえるのじゃ!》はかなり珍しいアクションカードだと思います。出遅れないために相手の《マダム・ミム – ヘビ》を戻したり、序盤のロアレースで先行されないために高ロアのキャラクターを手札へ戻したりします。中盤以降、インクに余裕が生まれれば自分の《マダム・ミム – ヘビ》を戻して、《エルサ – 冬の精霊》などの高コストのキャラクターを使いまわせるようになります。やや状況を選びますが、序盤から終盤まで使い道のあるカードです。 

《うろたえるのじゃ!》 

―ありがとうございました。 

おわりに 

ゆうが選手のアメジスト/サファイアは序盤からキャラクターを展開し、キャラクターの取り合いに強い構築でした。ドローとインクブーストが絶妙なバランスで採用され、早期に《ハデス – 冥府の策謀家》や《エルサ – 冬の精霊》をプレイできます。 

珍しい《マダム・ミム – 紫の竜》はこのデッキではゲームを締めくくる圧巻のフィニッシャーであり、ほかのキャラクターを使い回したり、相手の《BE PREPARED》の被害を最小限に抑えてくれます。総じてアメジスト/ルビーを強く意識したデッキでした。 

アメジスト/ルビーが跳梁跋扈するメタゲームにおいて、優秀な回答のひとつと言えるのはないでしょうか。 

気になった方は、ぜひ、お試しください。 

ライター:富澤 洋平 撮影者:福井 翔 

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