コラム

2025.07.26

【戦略記事】「ディズニーロルカナ グランプリ 2025 Summer 東京」Top64 メタゲームブレイクダウン

日本でのディズニー・ロルカナ・TCG最大規模のイベントにあたる「ディズニーロルカナ グランプリ 2025 Summer 東京」(以下、ディズニーロルカナ グランプリ)。
2000名を越えるイルミニアが各々工夫を凝らしたデッキを持ち込み、全9回戦を戦い抜きました。

予選ラウンドを経て、決勝ラウンドへ駒を進めたイルミニアはわずか64名へと絞られました。本稿では上位64名のデッキ分布である、メタゲームブレイクダウンをお届けしていきます。

「逆襲のアースラ」発売からわずか2週間での開催となったディズニーロルカナ グランプリ。限られた時間の中でイルミニアはどのような調整を経て、デッキを選択、構築したのでしょうか。イルミニアの腕の見せ所ともいえます。

イルミニアの人気はどのデッキへと集まったのか、確認していきましょう!

Top64メタゲームブレイクダウン

約2000名のプレイヤーが参加したディズニーロルカナ グランプリ。激戦を制してTop64まで勝ち進んだイルミニアのデッキ選択は以下の通りとなりました。

1位 「アメジスト/ルビー」  22 34.4%
2位 「アンバー/スティール」 13 20.3%
3位 「アメジスト/エメラルド」7 10.9%
4位 「エメラルド/スティール」 6 9.4%
4位 「ルビー/サファイア」  6 9.4%
6位 「アンバー/エメラルド」 5 7.8%
7位 「アメジスト/スティール」 3 4.7%
8位 「サファイア/スティール」 2 3.1%

最近の「セット チャンピオンシップ」の結果では多少減少傾向にあったものの、大規模大会ということもあり、「アメジスト/ルビー ミッドレンジ」が最多使用者数に輝きました。序盤から終盤までコスト順に揃ったキャラクター群、チャレンジの化身《マウイ – みんなの英雄》、問答無用で場からの退場を宣告する《マダム・メデューサ – ザ・ボス》と《BE PREPARED》、潤沢なドローカード(カードを引く効果)と、長丁場を安定して戦い抜くために必要な要素が揃っています。特に手札補充はゲームの安定性に直結し、イルミニアの多くはそれを求めて選択したのではないでしょうか。

「逆襲のアースラ」のカードも見過ごせません。最序盤からロアレースを牽引してくれるのは《フリン・ライダー – 薄情者》はこのデッキの出だしを明確に強化してくれた1枚。条件を満たすことでクエストとは無関係にロアを獲得できるため、チャレンジで退場する心配がありません。

《フリン・ライダー – 薄情者》

《シスー – 勇猛果敢な戦士》は先程の《フリン・ライダー – 薄情者》と組み合わせたい相方にあたります。《フリン・ライダー – 薄情者》の条件を易々と満たしてくれます。特に3ターン目に場に出た際の《シスー – 勇猛果敢な戦士》は攻撃力、意思力共に申し分なく、高いロア値も相まってひときわ印象の強い存在となりえます。

《シスー – 勇猛果敢な戦士》

次点となったのは歌と変身をキーカードとしている「アンバー/スティール」でした。《アリエル – 宝物収集家》や《アースラ – ヴァネッサ》といった歌声を持つキャラクターに各種アクション・歌カードを歌わせ、手数で対戦相手を凌駕し、有利な場作りを目指します。「逆襲のアースラ」から《アースラ – ヴァネッサ》が加わったことでこれまで以上に安定してアクション・歌カードを歌えるようになっています。アクション・歌カードを歌いつつ、同時にインクを使いキャラクターを展開することで、場に圧倒的な差が生まれます。

《アースラ – ヴァネッサ》

変身による強襲的な場の構築も魅力のひとつです。変身キャラクターは、変身に必要なコストが低く、それでいて支配的な能力をもっています。既存の《女王 – 支配者のオーラ》と《ロビン・フッド – シャーウッドの英雄》にプラスして、《アリエル – 音響の戦士》が加入。アクション・歌カードと相性がよく、レディ状態のキャラクターへも干渉できる貴重なダメージ能力を有しています。場の制圧力に今まで以上に磨きがかかりました。

《アリエル – 音響の戦士》

3位にランクインしたのは「アメジスト/エメラルド」でした。攻撃的なアグロから手札破壊(手札を捨てさせる効果)まで、戦略は多岐にわたる器用な組み合わせです。特に攻撃的なアグロデッキは《ペガサス – 雲の競走馬》などの登場により、回避持ちが増え、大幅に強化されました。出遅れに付け込みやすく、対戦相手が場を構築する前に逃げ切りを狙います。

中盤に差しかかり、キャラクターが並べば《ペガサス – 雲の競走馬》への変身を狙います。変身を使用することで、自分のキャラクター全員はあなたの次のターンの始めまで回避を得ます。2ターンにわたり、ロアを稼ぐチャンスです。勝利を手繰り寄せましょう。

《ペガサス – 雲の競走馬》

「アメジスト/エメラルド」に限らず、多くのアメジストデッキの中でセットで運用されるカード群があります。《マーリン》と《マダム・ミム》がそれにあたり、プレイしたときと場を離れたときに効果を発揮する《マーリン》、プレイしたときにほかのキャラクターを手札へ戻すことを要求する《マダム・ミム》は双方が効果を補完し合い、シナジー(相乗効果)を形成しています。これらのカード群はその作品名から王様の剣パッケージと呼称することとします。

王様の剣パッケージにより《マーリン》はカードやロアといった恩恵を即座にもたらすことで、ゲーム進行を自分優位へと近づけてくれます。《マダム・ミム》はそれらの《マーリン》を使い回すことで、プレイヤー間の格差をより広げ、先ほどの優位を勝利へと近づけさせてくれます。このデッキでは《マーリン – ヤギ》はロアレースを決定づけ、ダメ押しとなる1枚です。

《マーリン – ヤギ》

以下、「エメラルド/スティール」と「ルビー/サファイア」へと続くわけですが、ここで注目すべきはエメラルド+αの総使用者数です。エメラルドを使ったデッキの最大母数は「アメジスト/エメラルド」の7名だったものの、エメラルドは「アメジスト」「スティール」「アンバー」の3色にまたがって使用されており、それらの合計は18名にのぼります。これは2位の「アンバー/スティール」を上回る使用者数に当たり、「逆襲のアースラ」によりエメラルドが大幅に強化されたカラーであるとわかります。

デッキカラーが分散したことで最大カラーコンビネーションとはならなかったものの、エメラルド自体は隠れた勝ち組といって良さそうです。「逆襲のアースラ」から加入した《ディアブロ – 忠実なる使い魔》や《ペガサス – 雲の競走馬》は、確かに環境に爪痕を残しているのです。

《ディアブロ – 忠実なる使い魔》

おわりに

大会前から人気だった「アメジスト/ルビー」を筆頭に「アンバー/スティール」が続き、「アメジスト/エメラルド」、「エメラルド/スティール」、「ルビー/サファイア」が追従するかたちとなっています。

しかし、それらに隠れてエメラルドも母数としては多く、目が離せないカラーといえます。

果たして、優勝するのはどのデッキなのでしょうか。熱戦が続く、ディズニーロルカナ グランプリの模様は、ぜひ配信でご覧ください。

ライター:富澤 洋平

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