コラム
2026.07.10
【観戦記事】 決勝:はりー(栃木県) vs. ぴ(大阪府) ~《エリノア》外交は協調か、強硬か~
日本でのディズニー・ロルカナ・TCG最大規模のイベントにあたる「ディズニーロルカナ グランプリ 2026 Summer 福岡」(以下、ディズニーロルカナ グランプリ)。約700名のイルミニアが各々工夫を凝らしたデッキを持ち込み、スイス7回戦+決勝5回戦を戦い抜いた。
決勝戦まで勝ち進んできたのは、はりー選手と、ぴ選手(以下、敬称略)。両名ともここまで無敗。ノリに乗っているイルミニアといえるだろう。
栄光をかけて、決勝を戦う2人のイルミニアを紹介しよう。
イルミニア紹介

まずは栃木県在住のはりー。スイスラウンドを2位で通過している。
使用するのは「アンバー/エメラルド」のアグロデッキ、通称ロイヤルドッグ。デッキの強さを選択理由にかかげ、ドッグ要素に《女王 – 欺きの姿》や《エリノア – 名高い外交家》などのカードパワーで押せるキャラクターをプラスしている。
1コストのキャラクター採用枚数はなんと22枚!展開で圧倒し、出遅れを咎めるスピード感あるデッキに仕上がっている。
単なる軽さのみならず、中盤以降も活躍する《エリノア – 名高い外交家》や《レディ – ミス・ニューヨーク》なども採用されており、早さとパワーが共存している。
スタートからアクセル全開、海山も越えていくパワフルさを兼ね備えた、ノンストップなデッキだ。

対するは「アメジスト/ルビー」を選択した大阪府のぴ。本人の言葉をかりるならば“クラシック”スタイルの構築とのこと。
実際、《マダム・ミム》と《マーリン》のパッケージを厚めにとっており、最近では珍しい構築となっている。
デッキは“クラシック”ながら、成績はモダン。スイスラウンド5位と今大会を牽引してきた。
選択理由としてあげたのは再現性の高さと安定感。構築の正しさは決勝進出というかたちで証明された。
環境の高速化に合わせて、デッキ自体を軽量化し、全体除去はわずかに3枚。《シスー – 兄弟姉妹の希望》は1枚のみとなっている。代わりに《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》、《ローラー・ボブ – シドのおもちゃ》など序盤に出遅れない工夫が施されている。
アグロを取りこぼさないミッドレンジスタイルで盤面制圧を、さらには勝利を掴めるか。
ロルカナ史上類を見ない全勝同士の決勝戦。
ガッチリと握手をかわすと、全勝優勝をかけた決勝戦が始まる。


ゲーム
先手は予選2位のはりー。
初手をみるとはりーは7枚、ぴは6枚を入れ替える。
はりーは《プルート – 人なつっこいわんこ》で理想のスタートをきり、ぴもまた《ルイーサ・マドリガル – 力自慢》で応じる。
2ターン目に《オーロラ – 姫のお披露目》と《ボビー・ジムルースキー – スプレーチーズ小僧》の2体を追加しつつ、《ボビー・ジムルースキー》のプレイ時能力、”チェダーチーズスプレーだぁー!!”によって《リロ – 抜け出し名人》を捨て札へと送り込む。相手のチャレンジをケアして《プルート – 人なつっこいわんこ》はレディ状態でターンを返す。アグロデッキとはいえ、むやみなクエストに飛び込むことはしない、緩急のあるプレイングはさすが全勝といったところか。キャラクターは3体並ぶも、いまだロアは動かず。

3体のキャラクターを前に、ぴも追加戦力を補充したいところ。理想は《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》だが、この際1コストでも構わない。
しかし、現実は非情である。
ぴはセットインクするのみでターンエンド。追加のキャラクターをプレイすることはかなわなかったのだ。
はりーがこの隙を逃すはずがない。《オーロラ – 姫のお披露目》でクエストして最初のロアを獲得すると、《プルート – 人なつっこいわんこ》の“いい子だ!”で都合2コスト軽減する。

プレイされるのはデッキのダイナモ、《エリノア – 名高い外交家》。
《ボビー・ジムルースキー – スプレーチーズ小僧》がクエストへ向かい、あまったインクで2枚目の《プルート – 人なつっこいわんこ》を追加する。わずか3ターン目にして5体のキャラクターが並ぶ圧倒的な盤面の構築に成功する。
一連の行動により、エグザート状態のキャラクターが3体揃い、《エリノア – 名高い外交家》の“協調の采配”が誘発。はりーは新しいカードとロアを得て、《ルイーサ・マドリガル – 力自慢》へダメージを飛ばす。

ぴは《ルイーサ・マドリガル – 力自慢》で《オーロラ – 姫のお披露目》へチャレンジしつつ、《マダム・ミム – キツネ》へと入れ替える。今度は《プルート – 人なつっこいわんこ》を退場させ、キャラクターの差を2体分つめる。

2体のキャラクターを退場させられたにもかかわらず、はりーは焦らない。ここで《リロ – 抜け出し名人》を盤面へと戻す。余剰インクがある限り、何度でも捨て札から舞い戻る。
再度、《プルート – 人なつっこいわんこ》でコストを軽減すると、手札を使いきって2体のキャラクターを追加する。《エリノア – 名高い外交家》以外がクエストへと向かい、“協調の采配”の条件を満たし、ロア数は5まで伸びる。
6体に増えたキャラクターを前にぴは悩む。結果、《プルート – 人なつっこいわんこ》へチャレンジし、《ルイーサ・マドリガル – 力自慢》と《マーリン – カニ》をプレイしてターンを返す。次のターンから本格的に盤面を取り返す狙いだ。

はりーは《ボビー・ジムルースキー – スプレーチーズ小僧》で《マダム・ミム – キツネ》へチャレンジし、蓄積ダメージを2として《エリノア – 名高い外交家》の効果で退場させることを目論む。もっとも、その前に退場したばかりのキャラクターを《レディ – ミス・ニューヨーク》で回収してからだが。
展開は途切れることなく、1インクも無駄にせずキャラクターをプレイする。ロアとカードが供給され続け、遂には11ロアへ。
外交と呼ぶにはあまりにも一方的な策略に対して、打開策はあるのだろうか。

ぴは《エルサ – 第5の精霊》で脅威となっている《エリノア – 名高い外交家》をエグザートさせると、2体のキャラクターでチャレンジし、やっとのことで退場させる。
キャラクター数こそ開きはあるが、サイズではぴが勝る。ギリギリ間に合ったか。
ここではりーは勝利に向けて、もう一段攻める。《アースラ – 騙し屋》をプレイし、《BE PREPARED》を捨てさせて逆転の芽を完全に摘もうとする。
公開されたぴの手札にあったのは《マーリン – ウサギ》2枚と《トレメイン夫人 – 横柄な女王》のみ。
前方確認のできたはりーは全力でクエストし、16ロアへ到達。20ロアを射程圏内にとらえる。
ドローするも、そこに打開策のない。
ぴは、右手を差し出す。
無敗のまま走り続けた男は、決勝で、同じく無敗のイルミニアの前に散った。

勝者: はりー
勝負を分けたのは2ターン目、ぴがキャラクターを展開できなかった場面だ。
6枚返した手札は一体どんな内容だったのか。
ぴ「後手だったので《ルイーサ・マドリガル – 力自慢》と《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》が欲しくて多めに返しました。キープしたのは《エルサ – 第5の精霊》だけです」
《ルイーサ・マドリガル – 力自慢》は引けたが、《ジェデダイア・ファーンズワース – クッキー》は来なかった。
2ターン目のパスがゲームに色濃く影響した。
ぴ「アグロ対策は重めに《ローラー・ボブ – シドのおもちゃ》まで入れてました」再現性の高さと安定感。その理由は、決勝進出というかたちで証明された。
それでも、あと一歩が遠かった。確率論という限界を、超えることはかなわなかった。
一方、はりーは1コストのない手札を返したようにみえた。本人曰く、「アメジスト/ルビー」との対戦も慣れており、世間的な評価を覆しての勝利だった。
はりー「最高の回りでした」
はりーの言葉通り、デッキは応えて最高の初手を届けてくれた。引き直した7枚は3ターン目の《エリノア – 名高い外交家》を確約してくれたものだった。
《エリノア – 名高い外交家》のおかげで後続が途切れず、最後まで押し切れた。
13勝0敗。圧巻の全勝優勝。
無敗の王者がここに誕生した。
勝者へ祝福の言葉で、今大会を締めくくろう。

「ディズニーロルカナ グランプリ 2026 Summer 福岡」優勝は、はりー選手!!
おめでとう!!
ライター:富澤 洋平 撮影者:福井 翔