コラム
2026.08.25
【観戦記事】 準々決勝:なべ_L448 vs. ケン~ごきげんな《ディアブロ – 忠実なる使い魔》~
2026シーズンの締めくくりに位置する大会である「ディズニーロルカナ日本一決定戦 2026」(以下、日本一決定戦 2026)。大型イベントの上位入賞者のみが参加可能な招待制のイベントである。
現在は決勝トーナメントが始まったばかり。準々決勝まで勝ち進んできたのは、なべ_L448選手と、ケン選手(以下、敬称略)。デッキはどちらも「エメラルド/スティール」だ。
準々決勝を戦う2人のイルミニアを紹介しよう。
イルミニア紹介

なべは溝ノ口ハウスやアメドリ蒲田で研鑚を積むイルミニア。仲間から推された「エメラルド/スティール」を手に、ここまで勝ち進んできている。同デッキは「ディズニーロルカナ チャレンジ 2026 Summer 横浜」でも使用しており、トップ8の座を射止めている。
「エメラルド/スティール」は手札破壊を主とする戦略だが、「アンバー/エメラルド」をメタゲームの中心と考え、《背すじがゾクッ!》を減らすなど、細かなチューンを実施し、見事予選2位通過を果たした。
特徴は《ミューズ – アートとヒーローの専門家》の代わりに採用されている《ピート – 宇宙海賊》だ。中~長期戦で活躍が期待できるタフなキャラクターであり、変身による奇襲性も見込める。歌声を封じる“恐るべき計略”はスティール系デッキ全般に効果的だ。

準々決勝からはデッキ公開制となるため、変身元である《ピート – リングのレフェリー》の登場は見た目以上に意味を持つこととなる。対戦相手視点では《ピート – 宇宙海賊》への変身も考慮に入れて、プレイしなければならない。見えない《ピート – 宇宙海賊》の存在に怯え、慎重なクエストが求められる。

対するは「ディズニーロルカナ グランプリ 2025 Summer 東京」の王者であるケン。仲間と選んだデッキは「エメラルド/スティール 手札破壊」であり、そこへ《パラダイスの滝 – エキゾチックな目的地》+《TOUCH THE SKY》コンボがパッケージングされている。
クエストに頼らないロアと手札獲得手段を手に入れたことで、長期戦により強くなっている。特にキャラクターの少ない「ルビー/サファイア」に対しては効果的だ。


何よりも驚くべきは「エメラルド/スティール」を使い始めて1日であること。ケンは卓越したプレイングとプランニングを持っており、地力の高さが伺える。
勝負の肝は《ディアブロ – 忠実なる使い魔》の定着、《ピート – 宇宙海賊》の登場の有無となりそうだ。
ケン「昨日は眠れました?」
なべ「全然眠れませんでした(笑)」
嬉しさと緊張から両者とも眠れなかったと心境を吐露する。
なべ「トップ8を目標にはしていましたが、びっくりしています。目標だったので、ここからは楽しもうかなと思います」
ケン「え、(じゃあ勝っちゃって)いいんですか?(笑)」
これから準々決勝を戦うとは思えないほど、笑顔で会話が弾む。実は予選ラウンドの1回戦で対戦しており、その時はケンが勝利したとのことだった。
しかし、デッキを渡されると勝負師の顔になる。
「グッドラック」と拳を合わせると、準々決勝の幕が上がる。

ゲーム1
先手なべは2枚をマリガン。ケンは慎重に考えて、4枚を。
なべは《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》で手札を検閲。《風よ吹け》と《持つんだ熱い心》を確認。
ケンはインクウェルに埋めるカードを悩み、結果《ディアブロ – 石使いの召使い》を置く。
続けてなべは《アースラ – 騙し屋》をプレイし《風よ吹け》を捨てさせると、《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》でクエスト。ロアを先取する。
対してケンは《アースラ – 騙し屋》を鏡打ちするも、なんとなべの手札に歌はなし!
手札破壊の応酬を経て、先に《ディアブロ – 忠実なる使い魔》をプレイしたのはなべ。定着によるマウントを狙う。

ケンはレディ状態の《ディアブロ – 忠実なる使い魔》を前に悩む。思考をまとめると《アースラ – 騙し屋》をセットインクし、割り切ったかたちで《ディアブロ – 忠実なる使い魔》をプレイする。
なべは《ピート – リングのレフェリー》で《持つんだ熱い心》を封じ、《ディアブロ – 忠実なる使い魔》などでクエストし、“遠くまで飛んでお行き”の条件を満たしながらロアを4とする。
ケンは《ミューズ – アートとヒーローの専門家》をプレイし、強固な盤面を築くと、《ディアブロ – 忠実なる使い魔》でクエストへ向かう。
《ディアブロ – 忠実なる使い魔》の効果でケンも追加ドローするが、なべが盤面の優位を渡さない。このタイミングで《ピート – 宇宙海賊》へと変身を果たし、一気に7ロアまで伸ばす。
《ピート – 宇宙海賊》がいる限り、回避持ち以外はクエストへ向かえない。盤面どころか、ゲーム自体の掌握に成功したかたちだ。

ケン「手札は?」
なべ「3枚」
確認を終えると、《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》で手札をチェック。《持つんだ熱い心》コストに《ディアブロ – 忠実なる使い魔》へと変身、《アースラ – 七つの海の騙し屋》までプレイし、キャラクターを横に並べて盛り返す。
なべは《アースラ – 騙し屋》でケンの手札が《ピート – リングのレフェリー》であることを確認すると、《アースラ – 七つの海の騙し屋》をプレイし、《ピート – 宇宙海賊》でクエストし9ロアに。
ケンは《ディアブロ – 忠実なる使い魔》でクエストすると、先ほど公開した《ピート – リングのレフェリー》でアクションを封じる。
なべは《ピート – リングのレフェリー》返しでアクションを封じ、4体のキャラクターでクエストし14ロアへ。
ケンの盤面には《ミューズ – アートとヒーローの専門家》がいるものの、《ピート – リングのレフェリー》により真価を発揮できない。ケンは3枚の手札を前に考える

《ピート – 宇宙海賊》はとれず、アクションも封じられている。ここで果敢にチャレンジへと向かい、有利トレードしてロアレースの低速化を狙う。そのプレイの裏には《ピート – 宇宙海賊》のみならば、まだチャンスはあるとの思考がみてとれる。
チャレンジを終えて、なべの盤面は《ピート – 宇宙海賊》、《アースラ – 七つの海の騙し屋》、《ピート – リングのレフェリー》のみに。ケンは《ディアブロ – 石使いの召使い》と《プリンス・ジョン – 強欲王》を追加する。
しかし、なべはクエストでロアを17とすると《昔ながらのこの営み》で再度アクションを封じる。

ケン「ロアは17ですよね?仕方ないか」
不利な交換を承知で《ピート – 宇宙海賊》と《ピート – リングのレフェリー》をチャレンジで退場させ、なべの盤面を《ファーガス – ダンブロッホの王》と《アースラ – 七つの海の騙し屋》のみとする。
残るキャラクターでクエストし、ケンはロアを5まで伸ばす。

残った2体のキャラクターでクエストすると、なべのロアは19へと到達。《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》を続け、いよいよリーチ。
もう、1ロアも許されない。
ケンは手と盤面で取り返しを考え、《背すじがゾクッ!》を空打ちする。《ミューズ – アートとヒーローの専門家》2体の“ゴスペル・トゥルース”が誘発し、《アースラ – 七つの海の騙し屋》と《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》をバウンス。《ミューズ – アートとヒーローの専門家》で《ファーガス – ダンブロッホの王》へチャレンジし、なべの盤面を空っぽにしつつクエストで10ロアへ。

なべは渋々2体のキャラクターを再展開しターンを返す。
常に歌が求められるゲーム展開が続く。ケンはこのタイトロープを渡りきれるだろうか。
ケン「歌引ければ……《TOUCH THE SKY》!」

トップデッキした《TOUCH THE SKY》でキャラクター2体を戻し、クエストで18ロアへ。
まさかの20ロアへリーチからの敗北。なべは投了を宣言した。
なべ_L448 0-1 ケン
ケン「奇跡!」
なべ「除去が引けなかったー」
ケン「最後《TOUCH THE SKY》を引かなかったら負けてましたね、入れててよかった。序盤で(《ディアブロ – 忠実なる使い魔》に)変身できました?」
なべ「キャラクターしか引かなくて。アクションがなくて変身できませんでした」
振り返りながらも、ゲーム2への準備は抜かりなく。
ゲーム2
先手は再びなべ。なべは5枚、ケンは6枚と双方大量のマリガン。
ケンの《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》からゲームは始まり、《風よ吹け》があることを確認。なべは《ディアブロ – 石使いの召使い》でゲーム開始。
ケンは《背すじがゾクッ!》を埋め、再度《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》。
なべは《アースラ – 七つの海の騙し屋》をプレイし、ヴィランズを確保するとクエスト。一気に2ロアを獲得する。ケンは《風よ吹け》を《ディアブロ – 石使いの召使い》へと見舞い、チャレンジで相打つ。

なべは《ピート – リングのレフェリー》でアクションを止めると、《アースラ – 七つの海の騙し屋》で《風よ吹け》を歌う。《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》を除去しつつ、二度目は自身の《ピート – リングのレフェリー》にもダメージをあたえ、手札を伸ばす。
ケン「どうしようかな」
《アースラ – 七つの海の騙し屋》の支配を止める手段はない。やや迷いながら《ミューズ – アートとヒーローの専門家》をプレイする。
なべは《ピート – リングのレフェリー》で再びアクションを封じると2体でクエストし、4ロア。

ケンは《ミューズ – アートとヒーローの専門家》が残ったことで圧力のある盤面となる。なべが《アースラ – 騙し屋》をセットインクしたのを見て、《マックス・グーフ – 反抗期のティーン》で《風よ吹け》を回収し、逆転のターンへの布石とする。
なべは《持つんだ熱い心》を見舞い、3枚目の《ピート – リングのレフェリー》。
キャラクター差は4対1となべがリード。苦しい時間が続くケンだが、手札には歌が充実しており、反撃の準備は整いつつある。歌手要員として《マックス・グーフ – 反抗期のティーン》プレイしておく。
しかし、なべがプレイしたのは4枚目の《ピート – リングのレフェリー》!度重なるクエストでロアは10ロアまでたまっている。

なべ「ゲーム1は歌引かなくて、今度は《ピート – リングのレフェリー》しか引かない(笑)」
ケン「でも結構強いよ」
そう、ケンの手札は《風よ吹け》をはじめとした歌ばかり。《ピート – リングのレフェリー》が1枚でも欠けていれば、その瞬間に盤面を返せるほど強力なもの。その《ピート – リングのレフェリー》が重く、ケンにのしかかる。
なべは盤面のキャラクターを数えると《ピート – 宇宙海賊》へと変身させて全クエストで16ロアへ。

5体のキャラクターを前にケンは思わず苦笑する。
やっと《ピート – リングのレフェリー》の効果がとけたが、次なる脅威として《ピート – 宇宙海賊》が襲いかかる。まずは《WE DON’T TALK ABOUT BRUNO》で《ピート – 宇宙海賊》をバウンスし5枚から、《ピート – リングのレフェリー》を落とす。続いて《風よ吹け》を歌い、《ピート – リングのレフェリー》を除去し、《アースラ – 七つの海の騙し屋》をバウンス。《持つんだ熱い心》2枚を使い、《ピート – リングのレフェリー》1体を落とす。
結果、なべの盤面は無傷の《ピート – リングのレフェリー》1体のみに。

だが、1体の《ピート – リングのレフェリー》で十分だった。《ピート – 宇宙海賊》へと変身すると18ロアに。
ケン「《ピート – リングのレフェリー》4枚は聞いてない」
なべ_L448 1-1 ケン
ゲーム3
先手はケン。
ケン「ついに先手がきたな」
マリガンでケンは4枚、なべは5枚を入れ替える。グッドラックと拳をあわせて最終ゲームがスタート!
ケンは《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》をプレイすると、なんとなべの手札に1、2コストはなし!

インクをセットするだけのなべに対してケンはエンジン全開。《アースラ – 騙し屋》で《持つんだ熱い心》を捨てさせ、《ディアブロ – 忠実なる使い魔》へ変身!

除去を捨てさせて、安全かつ最速に《ディアブロ – 忠実なる使い魔》へ変身するごきげん《ディアブロ》(ごき《ディア》)が決まる!
なべは《ファーガス – ダンブロッホの王》をプレイするも、ごき《ディア》の前では無に等しい。ドンドンドローを進めていく。
ケンは《ピート – リングのレフェリー》で除去を封じ、もう1ターン《ディアブロ – 忠実なる使い魔》を守る。なべもお返しとばかりに《ピート – リングのレフェリー》をプレイし、ロアレースは2-1とケンがリード。

懸念は《ピート – 宇宙海賊》への変身のみだ。ケンは《ミューズ – アートとヒーローの専門家》をプレイし、《ピート – リングのレフェリー》と《ファーガス – ダンブロッホの王》が相打ちを選択。《ディアブロ – 忠実なる使い魔》でドローを続ける。
なべは《ピート – リングのレフェリー》を再度プレイ。
ケンは《アースラ – 騙し屋》で手札を確認後、2体目となる《ディアブロ – 忠実なる使い魔》をプレイ。慎重に安全圏からクエストし、4ロアへ。
《アースラ – 騙し屋》を2連打するとなべはクエストへ向かい、お互い4ロアとなる。
しかし、盤面の《ディアブロ – 忠実なる使い魔》は一羽のみ。対戦相手の盤面に回避のプレッシャーはなく、ごき《ディア》は継続中。
ケンは《ディアブロ – 忠実なる使い魔》2体でクエストし6ロアとし、《ピート – リングのレフェリー》でなべのアクションを止める。この《ピート – リングのレフェリー》は《ディアブロ – 忠実なる使い魔》を除去から守るため、2ドローと同義だ。

なべは新たな脅威として《エリノア – 名高い外交家》を送り込みリソースの復旧を図るが、ここまで開いてしまった差があまりにも大きい。追いつけるだろうか。
3体のキャラクターでクエストし、無理矢理《エリノア – 名高い外交家》の条件を満たす。《ディアブロ – 忠実なる使い魔》へ1ダメージ与えるも、ドローに連鎖して《ディアブロ – 忠実なる使い魔》の効果が誘発してしまう。
キャラクターは並び、7対5とケンが数で勝る。しかも内2体が《ディアブロ – 忠実なる使い魔》と質のうえでもケン圧倒的に有利。
ターンが返ると、ケンは《風よ吹け》を歌い、《ピート – リングのレフェリー》へ2点。《マックス・グーフ – 反抗期のティーン》で回収し、再度《風よ吹け》を歌い《ピート – リングのレフェリー》を退場させる。
続いて《持つんだ熱い心》で《エリノア – 名高い外交家》を除去。

《アースラ – 騙し屋》でそれぞれ《ピート – リングのレフェリー》へチャレンジし、逆転の布石となる《ピート – 宇宙海賊》への変身を封じる。なべの盤面は《アースラ – 騙し屋》のみに。
なべ「これは無理です」
ケン「完璧だった」
なべ_L448 1-2 ケン
勝者: ケン

対戦後
ケン「事前にデッキをみて、相性差がヤバいかなと思っていました。《ピート – 宇宙海賊》にまったく触れないし、速攻変身されたら終わってしまうなと」
実際、《ピート – 宇宙海賊》はゲーム1、ゲーム2において盤面を支配していた。重く、タフで、それでいて早い。
なべ「ゲーム2はやりたかった戦略でした。逆にゲーム1は歌もアドバンテージ源を引けなかった」
なべ「それでもゲーム1の最後は攻撃力3のキャラクターがいれば《ミューズ – アートとヒーローの専門家》でバウンスされず勝ちだったなぁ」
ドローの下ブレ、それは誰にでも訪れる不幸。
だが、なべは不幸を単なる不幸として捉えない。
なべ「もしくは《アースラ – 七つの海の騙し屋》でクエストすれば足りていた。でも、歌引くことを考えてクエストする勇気がでなかった」
勝利へのタイトロープが存在していたと反芻する。
ケン「ゲーム3はまさにミラーといった感じの一方的な展開。ミラーマッチの基本はキャラクターと除去による盤面をとりあいですね。ミラーが多いなら《ピート – 宇宙海賊》を採用するべきだったかな」
ミラーマッチの面白さと割り切らなければならない難しさを、懇切丁寧に解説してくれる。


そしてケンは、どん欲に上を目指す。
ケン「ところで《ディアブロ – 忠実なる使い魔》は後手でキープすべきですかね。1日目は《アースラ – 七つの海の騙し屋》と《ミューズ – アートとヒーローの専門家》で巻き返すゲーム展開を意識して、《ディアブロ – 忠実なる使い魔》は変身セットが揃っていない限り、マリガンで戻していました」
なべ「ミラーマッチの後手はほぼ負け(かなり不利)なので、《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》を引く期待値を込みで《ディアブロ – 忠実なる使い魔》はキープします。《ディアブロ – マレフィセントのスパイ》-《ディアブロ – 忠実なる使い魔》-《風よ吹け》の動きを狙いますね」


なべ「ミラーマッチで一番強いのは《ディアブロ – 忠実なる使い魔》と《アースラ – 七つの海の騙し屋》です。変身狙わないのはもったいないかなと。変身のやりとりを経て、その先に《ピート – 宇宙海賊》や《ミューズ – アートとヒーローの専門家》が影響するゲームがあるので」
ケン「なるほど」
なべからのアドバイスで、ケンはまた一歩、頂へ向けて進む。
さらなる強者となりて。
ライター:富澤 洋平 撮影者:福井 翔