ZWR04|ビクター・スピーゲル専用ハンターウルフ

発売日 2021年11月中旬発売
メーカー希望小売価格 5,390円(税込)
対象年齢 6歳以上

セット内容

セット内容以外のものは別売りになります。
  • 復元の書×1
  • Sパック×1
  • メカユニット×1
  • 発掘パックA×1
  • 発掘パックB×1
  • パックC×1
  • 改造メモ×1
単4乾電池1本使用(電池は別売りです。)

ゾイドワイルドのあらたなシリーズがまくける! そのも「ゾイドワイルド列伝れつでん」! 「ゾイドワイルド列伝れつでん」シリーズの第四弾だいよんだんは、TVアニメゾイドワイルドZEROに登場とうじょうしたビクター・スピーゲルの愛機あいき「ハンターウルフ」を完全再現かんぜんさいげんしたリアルムービングキットがついに発売はつばい





機体説明



機体説明 機体説明 機体説明 機体説明

TVアニメゾイドワイルドZEROに登場とうじょうしたビクター・スピーゲルの愛機あいき・オオカミしゅ中型ちゅうがたゾイド。
帝国軍ていこくぐんゾイドの特徴とくちょうでもあるZ-Oバイザーきの頭部とうぶアーマーが装着そうちゃくされ、背中せなかには全天候型ぜんてんこうがたハイパワーブースター、A-Z超電磁ちょうでんじブレード、前足まえあしにはスナイプテラの武器ぶきフォースバレルガトリングが追加装備ついかそうびされています。
背中せなか武器ぶき装着用そうちゃくよう新規しんきモデルのジョイントパーツが追加ついかされ、武器ぶきパーツのきを変更へんこうしたり、えたりできるようになっています。
機体きたいのカラーリングは、アーマーにメインカラーのグレーパープルにサブカラーのダークブルー、メタリックレッドの塗装とそうほどこされており、武器ぶきパーツは本商品ほんしょうひんオリジナルのカラーリングとなっています。A-Z超電磁ちょうでんじブレードのはメタリックレッドに塗装とそうされており、アニメに登場とうじょうした機体きたい迫力はくりょく再現さいげんしています。
起動骨スイッチをONにするとくち開閉かいへいしながら前進ぜんしんします。兵器解放マシンブラストは2段階だんかいかれており、だい1形態けいたいでは背中せなかのレゾカウルが上方じょうほうひらき、だい2形態けいたいではレゾカウルとソニックブースターが前方ぜんぽう展開てんかいし、ソニックブースターの先端せんたん回転かいてんさせながら歩行ほこうします。
Z-Oバイザーがいていない頭部とうぶのアーマーパーツが付属ふぞくしているため、本商品ほんしょうひんオリジナルカラーのハンターウルフにも換装可能かんそうかのうです。

新規パーツ

機体説明 機体説明

頭部のアーマーパーツは本商品オリジナルの新規パーツ。 Z-Oバイザーが装備され、細部に塗装が施された限定パーツです。

機体説明 機体説明

背部の武器は新規のジョイントパーツで装着することができます。このパーツにより、ブースターとブレードの向きを変更できます。

塗装

機体説明アーマーパーツには各所に塗装 が施し、劇中カラーリングを再現 しています。 機体説明武器パーツも細部に塗装による カラーリングが施れた限定カラー のパーツです。 機体説明

バリエーション

機体説明本商品にはZ-Oバイザーが装着 されていない頭部のアーマーパーツ も同梱されています。 機体説明本商品オリジナルカラーのハンターウルフにも組み換えることが可能です。

TVアニメ「ゾイドワイルドZERO」に登場した
ゾイドと人物たちのサイドストーリーを描く公式外伝
「ゾイドワイルド列伝」



ビクター・スピーゲル専用ハンターウルフ列伝
第4話「疾風の黒狼」


なんのために戦うかって?こんな時代だ、暖かい場所で旨い飯が食える、ただそれだけしか考えていなかった……日々の出撃でそんな大層な理由考える余裕なんてなかった……いや考えたくなかったのかも知れないな、今いる場所が自分の居場所だとそう思い目の前の任務を遂行する。軍人には、ライダーにはそれで充分な理由だろう……

「出力ゲージ安定しています」
「よし、このまま第二フェーズに移行する、ミヤーチ軍曹行けるな」
「はい!任せてください」

大地を駆けるウルフ型のゾイド、真帝国軍の新型のテスト機だ
帝国軍との争いに苦境を強いられている真帝国軍がエースライダー専用機として従来を遥かに上回る機動性と出力を与えるランド博士が開発した全天候型ハイパワーブースターを搭載した機体である。

モニターを見守る技術者からライダーへの指示が入る
「全天候型ハイパワーブースター点火、出力30%まで上げろ!」

写真1

技術者の指示通り全天候型ハイパワーブースターを点火するミヤーチ軍曹、強烈なGがその体をシートからはじき出そうとする
「ぐっっ……」
「ミヤーチ軍曹ッ!? 大丈夫か」
「はい、まだ行けます!」
「よし、そのまま出力を上げていけ!そいつの性能を見せてくれ」

全天候型ハイパワーブースターの出力を更に上げると加速していくウルフ型ゾイド
作戦室のモニターでは全天候型ハイパワーブースターの出力ゲージが上がっていくのが確認できる。
「36……40……45……50、出力50%超えました!」
「いいぞ軍曹!今までで最高値だ!そのまま全開まで加速しろ」
しかし、作戦室からの通信にミヤーチ軍曹からの返事がない
「おい、軍曹!聞こえているのか!?」
ウルフ型ゾイドのシートの上では強烈な加速Gにより意識がもうろうとしたミヤーチ軍曹がうな垂れている、もはや意識を保てる状態ではなかった。

「ライダーの意識レベル低下、このままでは危険です!」
「おい、軍曹聞こえているか!聞こえていたら返事をしろ」

作戦室からの通信も軍曹の耳には届いていない……圧倒的な加速で駆けるゾイドのシートの上で完全に意識を消失していた。
「ライダーの意識完全に消失しました」
「緊急停止だ!全天候型ハイパワーブースター強制停止プロトコル!今すぐ止めて機体の回収に迎え!」
足を崩し大地に力なく停止したウルフ型ゾイドをモニター越しに見た技術者からため息交じりの独り言がでる。
「ダメか……ランド博士による全天候型ハイパワーブースター装備型、音速のゾイド……博士はビクター・スピーゲル専用機として開発した機体と言うが、例えスピーゲルであってもこの機体を乗りこなせるものなのか……」

真帝国軍基地ドッグ内、午後三時三十六分。
首都奪還後、帝国軍の部隊は続々と合流し真帝国軍トラモント基地に大規模攻撃を行う作戦の為に集結していた。
最初こそ帝国軍の猛攻に対抗し続けた真帝国軍であったが、多方面から五月雨に進行してくる帝国軍軍勢の数に徐々に疲弊が見られ、多くの基地が壊滅に追い込まれる危機的状況に陥っていた。
「ここでトラモント基地までが陥落することになれば真帝国軍全体のメンツ……いや兵士たちの士気にも多大な影響が出る、何としてもトラモント基地を防衛し帝国の軍勢を退けるのだ!さすれば真帝国軍の大義と正義が証明されるであろう!」
これ以上の敗戦は許されない、後がない真帝国軍はトラモント基地の防衛に真帝国軍きってのエースライダーであるビクター・スピーゲルを向かわせることにした。
スピーゲルがトラモント基地に配属となった僅か三日目のこと。
真帝国軍情報部が得ていた帝国軍の進行予測通りにトラモント基地周辺に帝国軍所属のゾイドが多数集結していることが、基地のセンサーでも確認された。
「おいおい、どうやら敵さんすぐ目の前に来ているらしいじゃないか?」
精悍な顔つきで軍人らしく、それでいてどこか憎めない飄々としたその男、ビクター・スピーゲルは基地周辺に迫る敵の軍勢を黙って見ているだけの状況に苛立ちを感じていた。
「これ以上敵に集結されたら迎撃も不可能になるだろ!俺のドライパンサーはどうなっている、まだ出撃できないのか?」
「すみません……まだ武装すらついていない状態で何とか外装だけついた状態なんですよ」
トラモント基地のドッグ内では、スピーゲル同様に急遽基地に集められた整備兵たちが慌しくゾイドの整備を行っていたが、帝国軍の進行により物資の補給ルートも閉ざされ出撃できるゾイドすら武装が揃わないなど追い込まれた状況の中で戦線を維持するのがやっとの状態であった。
そんな緊迫した状況のハンガー内に作戦室からの通信が入る
「帝国軍のゾイド基地防衛範囲内に進行してきます!敵の先行攻撃部隊と思われます、後方からのバズートルの砲撃を盾に前方にキャノンブル数機!およそ10機をレーダーで確認、ライダーは出撃準備急いでください!」
「とうとう来やがったか……帝国の奴らめ御大層な数を揃えて来やがる、こちらの物資の状況は筒抜けって事か……」
「整備兵!ハンターウルフの弾薬補充は済んでいるな?急ぎ出撃するぞ!」

写真2
ハンターウルフのコクピットに収まるとやれやれといった表情でハンターウルフに独り言を呟くスピーゲル
「俺もお前もよくよく運がないな、こんなところ飯がまずければ直ぐにでもオサラバしたいところだが……こんなところでも、ここのシチューだけは悪くない」
通信状態のままぼやいたスピーゲルの独り言は指令室にも聞こえていた。
指令室からからスピーゲルに通信が入る
「聞こえているぞスピーゲル。お前とその機体が呼ばれた意味ちゃんと分かっているんだろうな?」
「はいはい、俺だってこんなところで死ぬ気はないんでね、暖かいシチューでも用意しておいてくださいよ……」
緊迫した状況でも焦りや不安を一切感じさせないスピーゲルの軽口に作戦室では笑みがこぼれるものも居た。危機的状況であっても兵士たちの士気を下げず作戦の成功を期待させる事ができるのも、この男の軍人としての才能であった。本来であれば指揮官としてもっと大きな大局を任されるべきであろう、この男には、ただ戦場で自分がやるべきことを成す、それ以外に興味がなかった。
指令室との会話にオペレーターが割って入る。
「敵完全に防衛エリア内に入りました!ビクター・スピーゲル出撃してください」
さっきまで軽口を叩いてたスピーゲルの表情が一瞬で変わる。
ハンターウルフをカタパルトに移動させるスピーゲル
「お前との出撃もこれで何度目だ……さてこれだけの敵の数だ……どうやら今日こそはお前の望み通り全力で走れそうだぜ」
「耐Bスーツ起動!ハンターウルフ、発進する!」
カタパルトから出撃すると同時に全天候型ハイパワーブースターを点火して加速を始めるハンターウルフ。出力ゲージが一気に50%を超え敵の砲撃の中に飛び込んでいく。
指令室では出撃したハンターウルフの出力ゲージを数人の技術者がモニターで見ていた。
「ビクター・スピーゲル……さすがとしか言いようがないな、もう全天候型ハイパワーブースターの出力50%までは完全に乗りこなしている。これなら今回の戦闘で更に上のレベルも見せてくれそうだ」
戦場ではイキなり目の前に現れたハンターウルフに戸惑う帝国軍の若い兵士が焦りと驚きで混乱していた。
「こ、こいつ!?どこから現れた!レーダーに表示されたと同時にこんな位置に移動してくるなんて、こんな動きあり得ない……なんなんだこのゾイドは!?」
一瞬で足を止めるとハンターウルフに銃弾をばら撒くバズートル。
「若いな……数を揃えたっても所詮は寄せ集め、戦場の空気に飲み込まれてちゃ敵に隙を与えることになるだけだ……」
攻撃を冷静に見極めると機体を更に加速させバズートルとの距離を一気に詰めるスピーゲル。
射程距離ギリギリまで詰めるとガトリングによる的確な射撃でバズートルのコクピットを撃ちぬくと行動停止させた。
「うわあぁぁ、馬鹿なっ!銃弾が飛んでくる先に機体がいないだと!?敵のウルフは一体どんなスピードで動いているんだ……」
一瞬で混乱する戦場に帝国軍部隊のリーダーから指示が入る。
「落ち着け!所詮敵は一機だ!各自散開し敵を円周上に取り囲め、タートルシェルフォーメーションで奴のスピードが速いなら逃げ場を無くして砲弾の雨を見舞ってやれ!」
部隊長の指示でなんとか冷静さを取り戻した帝国軍ゾイドがハンターウルフを取り囲む。
9台の機体による亀の甲羅のような形に形成された陣形から360度の砲撃で陣形内に取り込まれた逃げ場のないハンターウルフに集中砲火を浴びせた。
陣形内は爆音と煙で、大地ごとその場を破壊するかの如く砲撃が続けられた。
「ふははははははッッ!どうだ、これで奴も跡形もなく木っ端みじんだ!帝国の裏切り者の最後にふさわしい」
しかし爆炎の中に光が見えると同時、2台のバズートルが破壊された。
「兵器開放マシンブラスト!」
全天候型ハイパワーブースターを点火すると高速移動からバズートル2台を瞬時にその爪で切り裂いたハンターウルフ、再び陣形が崩れた隙にその場から姿を消した。
一瞬の事で状況判断が追い付かない帝国軍は再びの恐怖と不安に襲われた。
「何が起こっている!?あの砲撃の中で、奴はまだ生きていると言うのか!?」
砲撃による煙の中で有視界が遮られた事により余計にハンターウルフを視認することができなくなった戦場で帝国軍兵士はレーダーでハンターウルフを探す。しかし帝国兵のゾイドのレーダーには数台の敵機がレーダーに映っては消えレーダーモニターが壊れたかのような表示が繰り返される。
「なんだこれは!?レーダーに複数の敵機を確認!」
「一体どういうことだ?敵は一機ではないのでか!?」
混乱しレーダーを見る帝国兵のキャノンブルがその機体を引き裂かれその場に崩れ落ちた。
何が起こっているのか状況がつかめない帝国軍はもはや陣形の維持はできず、各機がバラバラにその場から後退を開始していた。
一気に敵の陣形を崩すほどの音速移動によるハンターウルフの攻撃であったが、その動きはスピーゲルの肉体へ想像を絶する負荷を与えていた。身体中の骨が軋んで、全身が破壊されるかのような衝撃がスピーゲルを襲う。
「ハアハアハア……これで残り7機」
兵器開放し全天候型ハイパワーブースターからの衝撃を推進力にしたハンターウルフのブースター出力は限界値の90%を超えていた。
さすがのスピーゲルを持ってしてもこの出力は耐Bスーツ越しであっても限界に達しようとしていた。加速で大量の熱を発するハンターウルフの金属ボディが大気に触れキンッキンッと金属音を発する、それはまだもっと走らせろと!ハンターウルフから、そうスピーゲルに語り掛けているようであった。
これ以上戦闘が長引くと身体へのダメージが限界に達するのはそう先ではない
スピーゲル自身誰よりもそれを分かっていた。一気に敵に攻撃を仕掛けるスピーゲルとハンターウルフ。
「さあ行くぞ!お前の全力を見せて見ろ!」

写真3
再び兵器開放マシンブラストしたハンターウルフの全天候型ハイパワーブースターが最大出力で加速する。青白い残像を残し、散会した敵ゾイドの中を駆け抜けていく
まだ煙幕が残り有視界でハンターウルフを確認できない戦場で、煙の中で
ハンターウルフが発するソニックブースターの青白い閃光だけが残像として光る。完全に混乱をしている帝国軍兵士たちはレーダーに表示されるハンターウルフに恐怖心しか感じていなかった。
「レーダーにどんどんと敵が現れます!敵の数1機じゃありません!5機……6機……7機……ダメだ、どんどん増えています。多すぎるこれじゃあ……」
音速を超える速度で駆け抜けるハンターウルフの残すソニックブースターの残像は、敵のレーダーにはまるでその場に複数の機体が動いているように見えていた。
ハンターウルフのコクピットモニターに表示されたハイパワーブースターの出力はついに100%に到達していた。それでも更に加速を始めるスピーゲルの駆るハンターウルフ。
「兵器開放マシンブラスト!」
第二形態へマシンブラストしたハンターウルフのソニックブースターから音波による巨大な鎌「ソニックシックル」が放たれる。
たった数秒のことであった……散会した敵ゾイドが次々とその機体を真っ二つに引き裂かれその場に崩れ落ちていく。
「ハア、ハア、ハア、ハアッ……残り2機……」
圧倒的不利な戦況から7機もの敵を倒したハンターウルフであったが、同時にコクピット内のスピーゲルにも限界が近づいていた。
度重なるソニックブースターの衝撃でスピーゲルは意識を保つのがやっとの状態であった。これ以上ブースターを使っての移動はスピーゲル自身の命に関わる。その場に立ち尽くすと動きを止めるハンターウルフ
ハンターウルフにもコクピットの中のスピーゲルが限界に達していることは分かっていた。何度と共に戦場を駆け抜けたスピーゲルというライダーをハンターウルフはよくよく理解していた。
「すまないなハンターウルフ…‥‥。俺もここが限界のようだ。お前はまだやれそうだな……」
その場に立ち尽くしたまま天に向かい大きな雄たけびをあげるハンターウルフ、雄たけびが戦場に響き渡る。

写真4
「ふっ、アハハハハハッ、お前ってやつは…‥‥そうかい分かったよ、ハンターウルフ!」
その雄たけびを聞いた残された2機の帝国軍キャノンブルが怯えるかのように後ずさりを始めた。ハンターウルフの機動力と戦闘力を見せつけられて目の前の敵がただ者ではない事がキャノンブルにも分かっていた。
ハンターウルフの雄たけびを聞いたのは、キャノンブルだけではなかった。
戦場から離れた真帝国基地内のハンガーで整備中であったドライパンサーが勝手に動き出し、カタパルトが起動し始める。驚く基地内の整備兵たち
「誰だ、誰が乗っているんだ!そいつは武装すらついてない状態だぞ!?」
「誰も乗っていません‼ドライパンサー、制御不能です!!!」
「なんだと!? 一体何が起こっていると言うんだ?」
誰も乗っていないドライパンサーは、カタパルトから勢いよく発進すると基地を後に“その声“が聞こえた戦場に向かう
勝利を確信していた状況から追い込まれた帝国軍の部隊長は後ずさりを始めるキャノンブルを前に進めると満身創痍の攻撃でハンターウルフを仕留めようとしていた。
「なめるなぁ裏切者が!こんな事認めんぞ!我ら帝国軍が貴様ごときにィィ!」
部隊長の叫びと同時、残された2台のキャノンブルが同時に兵器開放すると放たれるナインバーストキャノン!同時に2台のキャノンブルがハンターウルフを挟み込むように突進してくる。
通常の移動では避けようがない左右から挟み込まれた状態からのナインバーストキャノンの閃光を見たスピーゲルは自らの最後を覚悟した。
ハンターウルフに語り掛けるスピーゲル
「すまんな、俺がお前ともっと走れれば…」

そんなスピーゲルを余所にハンターウルフは再度身構えるとキャノンブルに攻撃態勢を取った。まるで最後を悟ったスピーゲルに諦めるなと語っているかのように敵に向かい攻撃態勢を取るハンターウルフ。
それを見たスピーゲルは苦笑いを浮かべる。
「そうか、お前まだ走れるんだよな!そうだな……俺も早く旨いシチューが食いたいって思ってたところだ」
渾身の力を振り絞るスピーゲル、全天候型ハイパワーブースターが点火されると最大出力でキャノンブルに向かう。
前後から迫るキャノンブルのナインバーストキャノンをギリギリのところで交わすハンターウルフ、その姿は一瞬でその場から消えた。
2機のキャノンブルは、互いが突進し合う形となりその巨体がぶつかり合い同士討ちとなった。焦る帝国兵。
「ウガァァァ……何をしている、早くどけっ!」
「奴はどこだ!どこにも逃げ場などなかった筈だ」
互いに半壊し巨大な角が折れ、向かい合うように巨体を絡めるキャノンブル。
「兵器解放!マシンブラスト!!!」
写真5
2台のキャノンブルがぶつかり合う遥か上空にハンターウルフの姿はあった。
ゼロ推進から直角に遥か上空まで空中を加速していくハンターウルフ
陸上型であるウルフ型ゾイドとして、その軌道は誰にも予測できない行動であった。
ハンターウルフが上空に居ることをレーダーで捉え知ると、驚愕する帝国兵
「まさか!?真帝国のウルフは空を飛べるとでも言うのか?こんな奴……相手に出来るわけない……」

上空のハンターウルフのコクピット内モニターでは全天候型ハイパワーブースターの出力ゲージが100%の出力を超えたエラー表示となっていた。
全天候型ハイパワーブースターの出力の限界以上に引き出し叩き出し、絶体絶命の状態から攻撃のチャンスを得たスピーゲル。
しかしそれは彼の命と引き換えに得たチャンスでもあった。
苦しそうな表情で言葉を発するのもやっとのスピーゲル
「ここまでか……」

スピーゲルの言葉と同時、コクピット内に警報音が響き渡った
「なんだ?どうしたハンターウルフ!」
スピーゲルが抑制する間もなく、ハンターウルフのコクピットが大きな音を立てながら機体から分離した。ハンターウルフは緊急脱出装置を起動し、スピーゲルを強制射出したのだ
驚きを隠せないスピーゲルであったが、その意識は暗い闇に飲み込まれた。

写真6
スピーゲルを射出したと同時、空中でA-Z超電磁ブレードを展開するハンターウルフ。
キャノンブル2体を真っ二つに切り裂いた。
崩れ落ちるキャノンブルを最後に戦場は完全に沈黙した。
圧倒的戦力差で臨んだはずの帝国軍の侵攻は、ビクター・スピーゲルの駆るたった一機のハンターウルフとの戦闘で完全な敗北となり、真帝国軍はトラモント基地の防衛に成功する。

静まり返った戦場で、ハンターウルフは歩くのもやっとの状態にも関わらず、一瞬コクピットごと投げ出したスピーゲルの方に振り向く様子を見せると、静かに歩き出しその戦場から姿を消した。
どれくらいの時間が過ぎたであろう、静まり返った戦場では無残にも破壊された帝国軍のゾイドの残骸だけが、この戦場で起こった事を物語っていた。
西日の眩しさに取り残された戦場で目を覚ますスピーゲル。
キャノンブルの残骸を見て戦闘が終了したことを理解する
「これは……俺は生きているのか?ハンターウルフはどこだ!あいつまさか俺を助けるために……」
辺りを見渡しそこにハンターウルフがいない事を心配するスピーゲル
その目にドライパンサーが映る。
「お前、どうしてここに?」
ドライパンサーを見ると、すべてを悟ったかのようにドライパンサーに語りかけるスピーゲル
「そうか、お前が助けてくれたのか……」
スピーゲルは、何も応えないドライパンサーのコクピットに乗り込み基地へ帰還した。

その後、真帝国軍によるハンターウルフの探索任務が続けられたが、わずかながらの目撃証言も痕跡も見つからないままハンターウルフはロスト機体として探索を打ち切られることとなった。

帝国軍基地指令室
「ハンターウルフ、結局行方が分からぬままか」
「はい半径100キロに渡る大規模な探索でも生体反応はおろか、その痕跡も全く掴めません……これ以上は帝国との戦闘領域まで拡大しての探索しか……上層部は探索打ち切りを判断した模様です。」
「惜しい機体を無くした……全天候型ハイパワーブースター出力100%の戦闘データ、今後の真帝国軍の機体開発に大きく役立ったであろうに」
「それですが、こちらで戦闘データを解析した結果、出力100%の状態は、スピーゲルが搭乗した時のみで、スピーゲルが意識を失ってからのハンターウルフの出力なんですが、30%まで落ち込んでいるんですよ」
「最後までわからぬ機体よ……いや恐るべきはランド博士か、スピーゲル専用機ハンターウルフ……スピーゲルと奴との相性まで考慮して開発されたとでも?まさかな……」




関連サ

  • 俺のゾイドコンテスト
  • ゾイドワイルド インフィニティブラスト(Nintendo Switchソフト)
  • ゾイドワイルド ZERO
  • ゾイドワイルド キングオブブラスト Nintendo Switch用ゲーム
  • ゾイドワイルド バトルカードハンター
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