【バトル攻略コラム】

ウィクロスアカデミー

ウィクロス帝王学・強者の条件その1、歴史と記録の中に鍵あり。ディソナのカードを振り返ろう!

はじめに

“ローマは一日にして成らず。”
大きな物事を成し遂げるには、
長い期間やさまざまな積み重ねが必要ということです。

帝王学。
前回のアカデミーにて講師のシロネコ氏が(ネタで)取り上げた言葉ですが、
これは特定の一分野を指す言葉ではありません。
次世代を継ぐ人物に対し施されるべき多くの知恵や知識、思考法やマナー、
その他もろもろをひっくるめたものこそが帝王学。
王を目指すのであれば、やはりいくつもの積み重ねが必要ということですね。

さて、誰もが頂点への挑戦権を持つウィクロスにおいて、
“次世代を継ぐ”チャンスはすべてのプレイヤーが持ちうるもの。
しかし最初に述べた言葉のとおり、
チャンスを掴むには絶対覚えるべき事柄はいくつもありますし、
絶対ではなくとも覚えておいたほうがいい事柄だっていくつもあります。

今回のメインテーマである「歴史と記録」もそういう事柄のひとつ。
「どういう環境でどんなカードが強かったか」
「どの時代にどのようなメタゲームが形成されていたか」といった知識は、
メタゲーム推測や、あるいは強力なデッキの作成に非常に役立ちます。
たとえ今役に立たなかったとしても、
備忘録として残しておけば将来役に立つ機会は山ほどあるはずです。

次なる頂点を目指すプレイヤーのための、ウィクロス帝王学。
ウィクロスにおける「歴史と記録」に関しては
人一倍やかましい「てらたか」と共に、
ディソナ編の強力なカードたちや環境変遷について振り返っていきましょう!

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とはいえ、環境が激変したディソナ編。
強かったカードをすべてピックアップしていくと
スクロールバーが米粒みたいなサイズになってしまいますので、
今回は特にルリグデッキのカード群を中心に見ていきたいと思います。

ディーヴァセレクション、激動。
新たな環境を生み出した「DISSONANCE DIVA」

和×ゴシックホラーという、それまでのピュアな歌姫路線からは少々趣を異にするテイストで描かれることとなったディソナ編。
不調和の意味を持つ「dissonance」が名前の由来であるディソナのカードたちは、まさに今までの調和を乱すかのごとく、新たな音をかき鳴らしながらメタゲーム環境に乗り込んできました。

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《みこみこ☆さんさんまぜまぜ》は、ディソナ編の前後でディーヴァセレクションというゲームが大きく変化したことを示すにあたって、最も適した1枚でしょう。

それまでのディーヴァセレクションでは、ルリグが1ゲーム中に稼げる(もしくは奪える)リソースの総量は5枚程度が基本でした。
ひとつ前の環境トップだった《共宴の巫女 リメンバ・ディナー》は1ターン1リソースの獲得が限度で、ゲーム1能力で妨害を行うことでもうちょっとリソースを誤魔化すといった具合でしたし、《ミルルン・セツナ》のゲーム1能力で頑張ってもリソース増加は6枚が限界。
ほかのルリグを考慮してみても、安定してそれ以上のリソースを稼げるルリグはそういません。

《みこみこ☆さんさんまぜまぜ》はどうだったでしょうか?
出現時能力で2枚のアドバンテージorリソース奪取。
1枚の手札破壊かエナへの課税による1ターン1枚のリソース奪取。
そしてエクシード4での1リソース奪取+1面要求もしくは4リソース奪取。
ディーヴァセレクションの平均である5ターン程度のゲームを前提に考えても、7~8枚分のリソースコントロール力を有している計算になりますね。

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ルリグと共に、ピースのパワーにも変化が生まれます。
なかでも、《UNKNOWN MEMORY》という莫大なリソース源が生まれたのはいっとう大きな変化でした。
それまでドリームチームピースのバリエーションの豊富さに押され気味だったルリグカラー統一系のデッキは、突如として現れたこのパワーカードをこぞって採用。
上記の《みこみこ☆さんさんまぜまぜ》と共に絶対的なリソースコントロール力を誇る「青-青赤みこみこ」が登場したほか、いわゆる「白単タマ」や「黒-黒青タマ」といったデッキもメタゲームに姿を見せました。

それほど多くメタゲーム上で姿を見かけたわけではないですが、「リソース感覚の変化」を数値化するには《アンバランス・ダンス》も有益な1枚です。

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ディソナ編以前の3面要求ピースといえば、6エナかかる《宇宙級母性》などが該当していました。それに対して《アンバランス・ダンス》は?
……見ての通り、2エナ!
《宇宙級母性》はデッキに3枚戻すのに対し《アンバランス・ダンス》は2エナ焼却しかできない、《宇宙級母性》は場のシグニをデッキ上に戻すため実質的なドローロックができる、などの違いはあります。
しかし、奪えるリソース差の1枚分・副次的効果や条件達成の必要性を加味して1枚分差が縮まると仮定しても、ディソナ編以前であれば《アンバランス・ダンス》の適正コストは4エナ程度だったのではないでしょうか?


ここまでの数値を合わせると、ディソナ編はそれまでと比べ「ルリグで2~3リソース」「ピースで2リソース」ほどリソース量に差が生まれた計算になります。
約4.5リソース。
これは、2点分ほど点数要求力(あるいは防御回数)に差が発生するぐらい。
それだけ変わったのですから、メタゲーム環境が“不調和でかき鳴らされた”のも必然と言えるでしょう。

ディソナルリグがメタゲームを大きく塗り替えたという事実は、ディソナ編発売後最初の大型大会であったディソナ杯の メタゲーム分析を見ても一目瞭然でしょう。

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ディソナ杯メタゲーム分析の記事からもわかるとおり、「DISSONANCE DIVA」で登場したルリグ5人は全員が大なり小なり環境上に存在していましたので、特に活躍したルリグを中心にピックアップさせていただきます。
環境前半を引っ張ったのは、手札破壊系ビートダウン最強の名を欲しいままにした《みこみこ☆さんさんまぜまぜ》と、爆発的な攻撃力を有する《炎妖舞 花代・惨》の2ルリグでした。

手札・エナ破壊で点数を通したり、リフレッシュで1点をもぎ取ったりという効果なら、確かに従来のルリグもいくつかは持っていました。
けれど、《炎妖舞 花代・惨》の持つ「ルリグ自身がライフクラッシュ効果を持っている」「ダブルクラッシュの付与を何度も行える」というものは、ありそうでなかった唯一無二のテキストだったと言えます。
何がすごかったって、これらのテキストは手札破壊ともエナ破壊ともリフレッシュとも「重ねる」ことが――つまり、追加打点を好きなように複数個組み合わせて、より高濃度の点数要求を行うことができたという点です!

《ウルトラスーパーヒーローズ》《ウリス・スケアー》によりリフレッシュを、《GO TO the TOP!》によりエナ破壊を追加打点として組み込んだ「赤-白黒花代」は、それまでの環境の最高速をいともたやすく超えるスピードでもって、メタゲームのアグロ枠に君臨しました。

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一方、環境が進むにつれ、じわじわと数を増やしていったのが《未開の巫女 ユキ》
このルリグをセンターに据えた「白-青黒ユキ」は、あまりにも硬いコントロールデッキとして、環境の大多数のデッキを受け止めてみせました。

早期にアシストを使い切りリミット8に上げても、シグニバリアで十分な防御回数を得ることが可能。
毎ターンLv1シグニを除去できるためコントロールデッキが頭を悩ませがちなダメージソースにも困ることがない。
また《マドカ//ダブ》などの軽量アシストとバリアによる事前防御のおかげで、エナ破壊による追加打点を機能させない。
リソース破壊への対応力の高さと、従来のコントロールデッキではありえない安定したダメージクロック。
これらは、一度は大きく攻撃的に傾いたメタゲームの天秤をコントロール側に引き戻すには、十分すぎる性能でした。

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ユキの躍進、及びバリアというギミックの強力さを語るうえで、ピース《黒点の記憶》を外すことはできません。
防御のためのリソースを先吐きして、相手からの干渉による追加打点をシャットアウト。
この行為の強力さを前面に押し出した《黒点の記憶》は、ガード不可のルリグアタックや手札破壊からのルリグアタックを受け止め、エナ破壊からのシグニアタックを受け止め、今日もあらゆる理不尽な攻撃から各地のセレクターを守り続けています。
相手のアシストルリグから必要な要求量を計算していたら《黒点の記憶》に崩された、なんて人も大勢いることでしょう。

点数要求力も激しくなり、一方で防御力もひとつ上のランクへ。文字通り「環境を一変」させるだけの力が、「DISSONANCE DIVA」のルリグとピース群には明確に備わっていました。

「ディソナ」は更なる発展へ。
ディーヴァセレクションをディソナ編のカード群で
制圧せしめた「CONCORD DIVA」

とはいえ、「DISSONANCE DIVA」までのディソナにはまだ足りていないものがありました。
それが「実際に爆発的なアドバンテージを得られる、他の選択肢」です。
《みこみこ☆さんさんまぜまぜ》のリソース操作能力は驚異的で、ピースも《UNKNOWN MEMORY》がすごかった。
けれど、例えば《炎妖舞 花代・惨》《メル=椿姫》などが生み出せるリソース量はそれほど多くありませんでしたし、ディソナのドリームチームピースである《黒点の記憶》《アンバランス・ダンス》《LANCER IN THE DARK》などはどれもこれも「実際の枚数として得られるアドバンテージ」の総量が少なかったんです。

換算した値で考えれば爆発的なリソースを持っているが、リソースの現物がないため融通が利きづらい。
「DISSONANCE DIVA」までのルリグやピースたちは、そんなちょっとピーキーな性質を持っていました。

しかし、その柔軟性の低さも、「CONCORD DIVA」で解決します。

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その際たる例こそ、超弩級アドバンテージピース《不穏☆FU☆ON!》

1エナで2枚ドローし、相手シグニ1枚をデッキ下に送りつける除去を行い、そして2枚の手札破壊。
ドローと手札破壊と点数要求、おまけに除去もリソース搾取と兼ね合いと単純明快なリソースコントロール能力を有すこのピースは、あっという間に大人気の一枚となりました。
ディーヴァグランプリ5thの優勝デッキである「青-赤緑ピルルク」、準優勝デッキである「青-白赤みこみこ」、そのどちらのデッキにも採用されており、現環境を暴れまわるトップメタの一角「(不穏レイ型)ナナシ」にもメインギミックの一部になっている。
ここまで来れば、環境におけるその豪快な暴れっぷりもわかりやすいでしょう。

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《不穏☆FU☆ON!》の台頭は《ゼノ・クラスタ》《エルドラ!オンステージ!》といった大型のリソース回復カードが評価されるキッカケのひとつにもなっており、まさに「現環境を最も動かしたカード」に挙げられます。

そんな《エルドラ!オンステージ!》も、実はディソナ編で初めて登場したアシストルリグ。
リソース獲得と防御能力の両立を現状最も高コストパフォーマンスで行えるアシストであり、長らくマドカ一強だった青アシストの別候補として、着々と使われ始めているところです。

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《不穏☆FU☆ON!》の陰に隠れがちだった《Instigate》も、最近ではじわじわと使用率が上がっているピースですね。
トラッシュ20枚状態の《DEATH DECK》やルリグの色が縛られる《ウルトラスーパーヒーローズ》とほぼ同等の効力を、1エナで、タイミングもアシストの色指定もなく発動できるのですから、その安定性の高さに関しては文句の付けようもありません。

さまざまな型の「赤-青黒花代」が環境に現れ始めたのも、このカードや《不穏☆FU☆ON!》がデッキ構築の自由度を大幅に引き上げた結果の産物といえるでしょう。

《不穏☆FU☆ON!》《Instigate》。「CONCORD DIVA」で登場したこれらのドリームチームピースは、前弾のディソナピースにイマイチ足りていなかった「安定感」「現物のリソースを手に入れる」という部分をしっかり補強。ディソナ縛りの構築に、さらなる大きな可能性を与えました。

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またルリグの部門においても、「リソースコントロールがうまい」ルリグが登場。
《コード・ピルルク・極》の「毎ターントラッシュからスペルを1枚使用してもよい」というテキストは、一目で「毎ターン手札1枚分のリソースが得られるんだな」とわかります。
出現時能力でも事故率を下げながら手札を1枚増やせますし、エクシードは「大きなリソースをさらに大きくできる」たぐいの除去効果。
パートナーシグニの《コードハート セイヴ//ディソナ》と合わせて見れば、このルリグがリソースコントロールを得意としているのは一目瞭然ですね。

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オールスター時代のピルルクのようなスペルの連打で、圧倒的なアドバンテージ量を抱えて戦う。
《エクスクロスファイア》《幻獣神 LOVIT//ディソナ》といった新時代のエナ破壊を絡めて追加打点も狙う。
このルリグがメインを張る「青-赤緑ピルルク」は、ディーヴァグランプリ5thを優勝した勢いそのままに、ディソナ編唯一のスペル軸ルリグとして確固たる地位を築き上げています。

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《羅菌姫 ヘドニム//ディソナ》と合わせればリフレッシュも点数要求もあまりにお手軽。そんな謳い文句で登場した《ナナシ 其ノ参ノ禍》は、「点数要求をルリグとパートナーシグニで完結させ、残りの部分でそれ以外の要素を好きなように詰め込む」という、完全分業制でのデッキ運用が可能なルリグでした。

今の環境では同コラムライターであるシロネコ氏としみずき氏が開発した「《不穏☆FU☆ON!》《レイ*無我斬》」のいわゆる「不穏レイ」パッケージ採用型が流行していますが、実はディーヴァグランプリ5thで3位のナナシ《黒点の記憶》採用の黒-赤青型構築。
最近のセレモニーでもレイではなく《マドカ//ダブ》を置いて防御面数を増やした型なんかが入賞しており、その構築幅は非常に広いことが伺えます。

「CONCORD DIVA」における選択肢の多様化という事象を最も強く体現しているルリグこそが、完全分業制で戦えるこの《ナナシ 其ノ参ノ禍》なのかもしれません。

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「DISSONANCE DIVA」で環境を激変させ、ただでさえ高かったカードパワーを「CONCORD DIVA」で発展させる。このような流れで、ディソナ編のカードたちは、ディーヴァセレクションのメタゲームを席巻してゆきました。
2023年6月中盤、最近では《未知の邂逅》によって追加打点を獲得した《残黒の巫女 タマヨリヒメ》も姿を現すなどしており、環境は再びエキサイティングで攻撃的なメタゲームへと移っています。

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ディソナ編の「歴史」と「記録」

環境変遷を踏まえながら活躍したカード達をピックアップしていくと、たった4か月前後しかなかったディソナ編にもさまざまな歴史が詰まっていることがわかります。
新カードの登場によるメタゲームの変化、カードの評価値の変動、それに伴う再度のメタゲームの変化……。
環境は流動的で、ずっと同じ見方を続けることは不可能です。

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しかし、未知を既知にする方法はいくつか存在します。

「DISSONANCE DIVA」の後半で増えた「白-青黒ユキ」には前環境「白-青黒リメンバ」のノウハウが多分に流用されているため、それまでの環境をしっかり把握していれば理解しやすいデッキであったとか。

「DISSONANCE DIVA」期の「バラバラな環境の中では総合力の高いデッキが勝ちやすい」→「環境が纏まってからは対抗策をしっかり積んだデッキが勝ち進むようになる」というようなメタゲーム変遷は過去に何度も起きているだとか。

《不穏☆FU☆ON!》《サマーライブブルーズ》《Instigate》《DEATH DECK》のような単純比較しやすいカードを軸に考えていけば、カードパワーの評価が行いやすいであるとか。

過去の知識こそが未知のものを理解する鍵になる、具体例がいくつもあるんです。

ウィクロス帝王学・強者の条件その1、歴史と記録の中に鍵あり。
強いデッキを作るコツは、メタゲームを推測する方法は、これまでの環境変遷の中に眠っていることがとても多いです。復習して、いつか役立つその日まで頭の片隅に入れておきましょう。

それでは、またの機会に。「てらたか」でした。



ところで、「その1」とまるでシリーズものかのようなタイトルが付いている今回のコラムですが、次回以降帝王学その2その3と続く予定などは特にございません。たぶん……。

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