【第3話 後半】

PARTNER←願い

「ちょっとみこみこ……!あんたまた初心者狩りなんてやってるの!?」

「あーら、ヒラナさん。人聞きの悪いことを言わないでくれる?みこみこは手に入れたこの『ミコオシ』と共に、挑んでくるDIVAを正々堂々と蹴散らしているだけよ!」

「くっ……!だからって、まだディソナ内の強いシグニを持っていない子たちばかりと戦っていることは事実じゃない!」

「そういうDIVAが挑んで来るだけで、別にみこみこのせいじゃないし~?」
みこみこの前にはヒラナが現れ、完全に調子に乗っているその行為を止めようとしていた。

「むしろ、報酬としてみこみこの大事なシグニを賭けてるんだから、勝てば逆に相手のシグニをもらう――それを繰り返して自分の戦力をあげていってるの。戦略としては頭がいい位だと思うけど?」

「だとしてもよ!力でねじ伏せるやり方なんで……せっかく今回新しく参加してくれたDIVAが楽しめないまま辞めちゃったらどうするの!」

「そんなのみこみこに関係ないもーん」

「くっそー!言っても聞かないなら、あたしがバトルして――!」
相変わらず人の言うことを素直に聞くようなタイプではないみこみこ。ヒラナがみこみこにバトルを仕掛けようとした時――。

「な、何……!?」

突然ふたりの周囲で大勢のディソナシグニが出現した。これは……どこかのDIVA達の願いが溢れているのだろうか。例えば、ここで負けたくない想い、が――?

「えっ、ちょっと何これ!?どういうこと!?どうしてみんなみこみこのほうに寄ってくるのよ……!」

意識があるのかないのか、シグニはみこみことヒラナのいるほうに集まって来ている。悪意があるような表情には見えないが、ふたりに向かっているのは確かだ。

「みこみこ……もしかしてシグニに恨まれるようなことした……?」

「な、何もしてないわよ……!」

「じゃあどうしてみんなこっちに……!あたしを巻き込まないでよね……!?」

「はぁ!?勝手に巻き込まれに来たのはそっちでしょ……!」

「とにかく、どうするのよこれ~!」

「向かってくるなら倒すしか……!」
しかしシグニはざっと見ても数十体はいる。ふたりで相手をするにはいささか数が多すぎるような気がする。

「ふたりでこの数と戦うなんて、さすがのみこみこもビビるんですけど……!」

「でもこのままだともみくちゃにされちゃう……!」

――ドカン!ドカン!

「な、何の音!?」
シグニの群れの向こう側で、何かを爆破したような音が聞こえた。続いて、DIVAやシグニのざわめき。

――ドカン!

再度同じ音が聞こえたかと思うと、辺りのシグニの人数が減り、向こう側が見えてきた。

「あ、あれは……タマ……?」

ヒラナの目線の先には、以前のような真っ白な姿ではなく、黒の色を帯びた姿をしたタマがいた。どうやら大量に生まれた新しいシグニを次々を倒していっているようだ。

「な、何なのよあの強いDIVAは!?知り合いなの……!?」

「う、うん……。でも……様子が何かおかしい、かも……」

「るうを危ない目にあわせるひと、許さない……!つよいひとは、タマがぜんぶ倒す……!」

タマとタマの隣にいるシグニが、どんどん周りのシグニを倒していく。

「あれがもしかしてタマちゃんのパートナーシグニ……?」

『つよい』と聞いたみこみこを探してここにやってきたタマは、るう子のいないこの世界を――るう子の姿をしたシグニにひどい扱いをする人を、そしてうまく行動できない自分を……全て壊してしまいたいという願いから生まれたパートナーシグニを得ていた。

バトルの勢いを見るに、戦いに特化した攻撃力の高いシグニだということが分かる。

「あああああーーーっ!!」
雄叫びなのか悲鳴なのか……タマは声をあげながら次々と攻撃を繰り出し、それに呼応するようにパートナーシグニも容赦なく周りのシグニを倒していく。

その様子を、タマを追ってきた花代と緑子が目にする。詳しい状況は分からないが、このままタマを戦わせてはいけない……そう思った。

「タマ!!しっかりして!」

「自分を失っちゃだめだよ!」
緑子がタマの腕を掴む。

「その姿……気持ちに引き込まれそうになってるのか……」
さらに黒く染まり、シグニを使って一心不乱に戦うタマの姿を見て、恐らく暴走しかけているのだと悟った。

「離して……!」

「「タマ!!」」
ふたりの真剣な声に、「はっ」と意識を取り戻すタマ。

「……花代、緑子……。タマ……なにを……」

「……はぁ。良かった」
自分達のことを認識し、目が合ったことに安心するふたり。

「ちょっと焦っちゃっただけだよね、落ち着けば大丈夫だよ」

「タマ、こころがわぁーってなって……」

正気になったタマは、自分の隣に立つシグニを見た。

「この子……」

「その子がタマの『パートナーシグニ』?」

「わ、わかんない……。戦わなきゃ、勝たなきゃって思ったら……これが……」

「なるほどな。そうやって生まれてくるのか……」

「……ゆっくり話す前に、この大量のシグニを何とかしたほうが良さそうだよ」
緑子がいまだにシグニに囲まれたヒラナとみこみこに気付き、一旦はバトルに集中しようと提案。ヒラナ達に群がっていこうとするシグニを、外側から倒していった。

「タマちゃん……!大丈夫だった!?」
あらかたのシグニを抑え、タマ達に駆け寄ってきたヒラナ。タマの手を握り、助けてくれてありがとうとお礼を言うのだった。

「それにしても、タマちゃんってあんなに強いんだね!?」

「パートナーシグニを手に入れて、さらに強くなったみたいだよ」
タマの替わりに答える花代。実際、8割程度のシグニをタマがひとりで倒していた。

なるほど、そうだったんだ!あたしもさっきの戦いで、パートナーシグニが生まれたみたいで……。自分専用だからなのか、すごく使いやすいっていうか相性がいいっていうか……とにかくいつもより戦いやすかった!」

パートナーシグニを得るためのトリガーは謎のままだが、ディソナシグニだけではなく、パートナーシグニも次々と生まれていっているのは確かなようである。

「ヒラナもつよくなった……?一緒にるう……アンノウン探せる?」
タマはつよいDIVAが揃えば、自分達がアンノウンを見つけられるかもしれないと思っていた。

「そうだね!」
ヒラナは微笑む。

「あと……みこみこを倒す術も、手に入れたってこと!」
そしてそう言いながら、いつの間にか後ろに来ていたみこみこのほうに振り返り、指をさす。

「……げっ!」
突然自分に話を振られ、身を構えるみこみこ。しかしすぐに目的を思い出し、タマに向かって声を掛けた。

「あなた……アンノウンを見つけたいのよね?」

「タマ?タマは……アンノウン見つけたい。……いちばんさいしょに!」
ここにいるDIVAは全員アンノウンを探している前提ではあったが、タマは他のDIVAと必死さが違うようである。みこみこにとってそれは、『お願い』をするにあたってありがたいこと。

「あたし、居場所に心当たりがあるのよね」
自分がアンノウンを捕らえ、報酬をもらうためには強い仲間と強いシグニを集めなければならない。つまり、『このタマというDIVAは使える』――みこみこはそう思ったのだった。

「……ほんと!?」
タマは勢いよくみこみこに詰め寄る。

「も、もちろん……!」
その様子に圧倒されながらも、チャンスを逃したくないみこみこは耐える。報酬をもらうことが何よりも大事なのである。トップDIVAになって、大金持ちになる――そのために……!

「ちょっと、適当なこと言ってないでしょうね!?タマちゃん、だまされちゃだめだよ!」
ヒラナはみこみこがタマを仲間にするために、調子のいいことを言っているだけのように思えた。さっきまでそんなことはひと言も言っていなかった……。根拠もなく信じてしまっては、タマが傷つくだけだ。

「で、でも……るうが見つかるかも……」
しかし、アンノウンの情報を前にして、正常な判断ができなくなっているタマ。はじめての『可能性』なのだ。逃したくない……。

「もちろん心当たりもあるし、そのために一緒に戦ってあげることもできる。今のみこみこは強いから、戦力としても十分よ!協力してアンノウンを見つけましょう……!

「タマ……」
花代と緑子も、ヒラナの様子を見るに、このみこみこという人物を信じていいものか判断しかねていた。嘘を言っているならタマを止めなければならない、しかし、本当に情報があるならばタマのためになる……。

「わかった。タマ、一緒に行く」

「ふふふ♪そうこなくっちゃ」

タマはみこみこと行動を共にすることに決めた――。

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