【バトル攻略コラム】

ウィクロスアカデミー

オールスター&キーセレクション環境考察&デッキ紹介
「WELCOMEBACK DIVA ~Lostorage~」が与えた影響

みなさま、ごきげんよう。
金曜日恒例ウィクロスアカデミーのお時間です。

今回の講師を担当させていただきますのは、私「しみずき」です。

さっそくですが、本日の講義テーマはコチラ。
「WELCOMEBACK DIVA ~Lostorage~」のカードたちが、オールスター&キーセレクションに与えた影響』です!!
ディーヴァセレクションに登場するカードのパワーは、下環境(以下:オールスター&キーセレクション)で活躍するカードと比較して水準が異なります。
しかし、ディーセレのカードの中にも、一線級の活躍をしているカードは多数存在しています。

カードのパワーの水準が異なる理由は、開発側が各フォーマットのゲーム性のギャップを活かしたカード展開をしているから!!だと思います(筆者の推測)。

もっとも顕著なのはシグニのパワーラインでしょう。
下環境のバニラシグニのパワーラインはレベル1から順に、3000⇒7000⇒10000です。
これに対してディーセレで登場したバニラシグニのパワーラインは、5000⇒10000⇒13000となっています。
このパワーラインを前提にカード展開がされているディーセレ視点では、強いも弱いもありません。
しかし、下環境視点で見れば明らかにパワーが高くなっており、ただのバニラシグニでも同レベル帯のシグニの焼き範囲では処理が難しく、堅牢な壁として機能してくれます。

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また、エナ破壊の査定の軽さもディーセレと下環境のゲーム性のギャップがうまく活かされています。
ディーセレにおけるエナ破壊は赤色を採用すればすべてのルリグが行使することができます。
そのため、基本的には多少のエナ破壊を考慮したアシストルリグの構成や《ゼノ・クラスタ》と言った汎用メタカードで対策を行なえます。ですので《紅将 ナベノツナ》《羅婚石 ダイヤブライド》のようなノーコストでエナ破壊を行使できるシグニもディーセレにおいて”強過ぎる”ということはなく、良調整カードの枠に収まっています。

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しかし、オールスターの遊月やキーセレクションのウリスと言った特定のルリグがエナ破壊をしてくる下環境では、ディーセレのカードがメタゲームを揺るがすほどの大きな影響を与えています。
特にキーセレクションでは対策無しでエナ破壊に対面するとゲームが崩壊してしまうレベルの脅威となっています。

ほかにも、下環境におけるレベル3ルリグがレベル4グロウまでの中継でしかなかったのを、ディーセレのセンタールリグ(レベルが3)にすることで、リソース面や除去、コイン入手など、従来より多くのアドバンテージを獲得できる強化札として機能しています。
「パワーの水準が下環境と異なるディーセレ基準でカード開発をしながら、下環境でも通用するエッセンスを取り入れる」
これは個人的にはメチャクチャ感動している部分で、こんな絶妙なバランス調整をしている開発陣には眠れない夜もあったでしょう……。

と、いうことで。
開発のたゆまぬ努力とセレクター諸兄らの研究により、オールスター&キーセレクションの環境も日々変化しています。今回は私が考える各フォーマットの現状と、「WELCOMEBACK DIVA~Lostorage~」によって強化されたデッキをそれぞれ解説します。

お時間ありましたらお付き合いください。

オールスター

注:オールスターについては1月16日のYouTube生放送で発表されたレベル1でのコイン未配布ルリグに待望の新ルリグがリリースされるというインパクト大大大の案件によって、さまざまな環境の変化が訪れると思いますが今回は置いておきます。

ショットデッキの隆盛

まず、昨今のオールスター環境を語るうえで外せないのが、ショットデッキの隆盛です。なかでも「ダッシュ リル※1」と「ダッシュ タマ※1」は現環境で暴れまわっています。

(※1 ダッシュ リル/ダッシュ タマ:《ビカム・ユー》を使い相手より先にレベル4にグロウ、強力な耐性を持つシグニを活かしてショットを仕掛けるデッキタイプの俗称。オールスターをがっつりプレイしてないとなじみの少ないワードかも)

その要因は大きく2つ。《武踊の記憶 リル》《羅星姫 カーニバル//メモリア》の登場です。

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《武踊の記憶 リル》の登場によって「ダッシュ リル」が強化されたのは、言わずもがな。
ダッシュ系のデッキはリソース面とパーツ集めが結構シビアです。そのため、ノーコストでコイン入手+ライズを出した際に手札交換ができるようになったのはシンプルな強化点です。ほかにもゲーム1によって状況に応じた盤面焼きができる点もGood!!
後攻の場合、《武踊の記憶 リル》の効果を余すことなく享受してから《ビカム・ユー》でレベル4にグロウする流れはとても綺麗です。
元から強力なデッキタイプでしたが、前弾で登場した《紅将姫 クーフーリン》による強化も相まって、さらなる躍進を遂げました。

続いては《羅星姫 カーニバル//メモリア》
ダッシュデッキはさまざまな状況下でもショットを成立させられるよう、数多のメタシグニを搭載しています。そのためデッキの枠は常にカツカツです。私自身も構築ルールが50枚だったらいいのに……と何度考えたことでしょう。
そんな折、場にいるシグニに化ける(一部例外を除く)ことのできるこのカードは、デッキのすべてのシグニの採用枚数を+1してくれます。こんなに嬉しいことはありません。

この恩恵を最大限享受しているのが「ダッシュ タマ」です。相手の《ビカム・ユー》の牽制やショットパーツの捜索に欠かせない《羅星 リンゼ》。ショット盤面の根幹をなす《先駆の大天使 アークゲイン》《禁忌の焔 ≡プロメウス≡》《偉智の遊 オシャブ》に化ければ白色か赤色の好きなほうを確定でエナに置けます。ほかにも、《忘得ぬ幻想 ヴァルキリー》に化けるだけでも便利に使えます。
特に《羅星 リンゼ》は複数体並べたいケースが多く最大枚数の4枚採用された構築が主流です。そんな《羅星 リンゼ》の5枚目として運用できるのは、このカードにしかできない点です。
《ぶりっつあーや!》《炎のタマ》《プリンセス・ディフェンス》などショットには厳しめのカード展開をしてきた開発陣の”デレ”とも言える強化を受け、これらのデッキは旬を迎えています。

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ウィクロス公式Twitterで集計している「今月のトップディーヴァは誰だ」でも、タマやリルはTOP3に食い込んできており、数字からもその勢いが伺えますね。

対抗馬の登場

ショットデッキの躍進に待ったを掛けるべく、これらのデッキを対策できるルリグが台頭してきました。
その代表格がグズ子とユキです。この二者は先述した「ダッシュ リル」と「ダッシュ タマ」に対して、それぞれ異なる戦法で優位に立っています。順に解説していきましょう。

まずはグズ子です。このルリグは優秀なアーツによるライフクロスのキープ+《ぶりっつあーや!》というメタカードにより相手のショットアプローチを一度しのぎます。そして、相手の防御が薄い点に付け込み、序盤からの連続攻撃を活かした速攻で先に倒しきる流れでショットデッキを打ち負かします。
いかに強力なショットデッキと言えど、局面によってライフクロス何枚からショット可能というレンジが存在します。そのため、ショットされるターンには可能な限り多くのライフクロスを残せていると生存率が上がります。
このライフキープを実現する鍵が《グレイブ・ディガー》というグズ子限定アーツにあります。
複数枚のコインをベットすることで、0エナで複数の面をバニッシュできてしまいます。
また、《フーリッシュ・マイアズマ》も《グズ子》であれば3モード選択することができ、自身のシグニをバニッシュする効果を使用することで、2エナという少ないコストで十二分な防御性能を発揮してくれます。

れらアーツのお陰で、エナの少ない序盤の攻めを安定して防ぐことが可能になっています。

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お次は攻撃面。速攻の要は《似之遊 ハイ&ロー》《異血之遊 †アカベコ†》などの自分のシグニをトラッシュに送る効果を持ったカードたち。アタックの終わった《似之遊 ハイ&ロー》をトラッシュに送り、自動効果のハイローゲームに勝利することで、新たな遊具シグニを展開できます。これにより相手の盤面の空き状況によって左右されますが、レベル2の段階から4点以上の打点を押し付けられます。
この攻撃性能はレベル4グロウに伴い、さらに1段ギアを上げます。《死之遊姫 キングゲーム》《死之遊姫 アタリナシ》《死之遊姫 †超体感†》により、1~2面どうにかした位ではいっさい止まりません。それに加え《悲劇の駄姫 グズ子》のコイン技によって、疑似的に打点を増やせるなど驚異の打点形成能力を誇っています。
この点が攻撃性能と引き換えに防御が薄くなっているショットデッキには強烈に刺さります。

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また《グズ子》の優秀なところは、構造上、副次的にダッシュ系のデッキに強くなっているだけであって、ダッシュに勝つためだけにデッキパワーを削っている訳ではないという点にあります。
序盤からの高火力、アーツのスペックの高さ、盤面形成能力の高さどれをとっても高い水準でまとまっており、さまざまなルリグと渡り合うことができます。

特に《悲劇の駄姫 グズ子》のコイン技で、本来であれば連続攻撃とは相性最悪の《繚乱する花束 アルフォウVSハイティ》のクラッシュ制限を貫通してリフレッシュを誘発できます。※2
これによって無対策で相対すると敗色濃厚となる《邪眼の閻魔 ウリス》デッキに対しても優位に立てる点は非常に頼もしいです。
今後、より一層頭角を現してくるルリグだと考えています。

(※2 :2枚目以降のライフクロスはクラッシュできないけれど、ダメージは与えているという判定になり、1度のダメージにつき20枚の山札をトラッシュに置くことができます。リフレッシュによってライフクロスが無くなるとトドメのダメージは通るので、《繚乱する花束 アルフォウVSハイティ》があっても防御を強要することが可能。)


続いてはユキです。
ユキはグズ子のように苛烈に攻め立てることで先に倒しきるのではなく、《清心の巫女 ユキ》の効果によって完封勝利を狙います。
「ダッシュ タマ」と「ダッシュ リル」はそれぞれ、《先駆の大天使 アークゲイン》《神聖なる美将 ジャンヌ》という強力な耐性を持ったシグニと連続攻撃を組み合わせたショットがメインです。これらの主力シグニはどちらも《清心の巫女 ユキ》のエクシードによって能力を失わせることができます。
そうなってしまえばただのバニラシグニですので、アーツなり、シグニの効果なりで対処が可能になります。
最初のアプローチを《プリンセス・ディフェンス》で防いでしまえば、あとはもうこちらのペース。防御回数も、リソースの獲得量も、継戦能力も圧倒的に勝っています。牙を抜かれた獣をゆっくりと料理するだけです。(油断しすぎると負けちゃう場合もあるので、過信は禁物)

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根強い人気 高耐久ルリグ

もちろん、ショットvs対ショットという構図で環境が二極化しているということではまったくありません。レベル5までグロウし、強力なルリグの効果でドッシリと構えて戦う高耐久のルリグもメタゲームに参戦しています。
てらたかさんの記事で紹介されていた《誘蘭の鍵主 ウムル=フェム》《邪眼の閻魔 ウリス》デッキもこのカテゴリーで現環境でもしっかり活躍しています。
基本的にはメタではなく単純なパワーに寄っていることからショットデッキには弱く、ショットメタのデッキには持ち前のパワーで押し切れることから強い傾向にあります。

センタールリグ《ドーナ SUN》によって強化された《ドーナ FIFTH》デッキもその一つ。2枚のコインをグロウするだけで獲得できるようになり、同じ枚数のコインを得ようとした際に、従来と比較して手札とエナ各1枚分のリソースが浮くようになりました。
また、ゲーム1で2枚のカードを回収できるようになっており、累計で4リソース分もお得です。
序盤に浮いたリソースは《幻怪 ユキンコ》のバウンスや、《幻怪 フウライ》の起動効果に回して要求に回すもヨシ。終盤の攻防に向けて貯め込むもヨシです。ドーナは無制限にリソースを伸ばせるデッキではありませんので、《ドーナ SUN》の追加は非常に嬉しい強化と言えるでしょう。
また、ダッシュ系デッキに対して《幻怪姫 サトリーナ》の能力消しで序盤の点要求を防ぎ、ゲーム1効果で再度構え直すといった芸当も可能になりました。ライフクロス1枚守れたか否かが勝負を分ける対面ですので此方も嬉しい点です。

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デッキ紹介の前に現環境を簡単にまとめてしまうと

  1. 優秀な強化札が配られたことによるショットデッキの隆盛
  2. ショットデッキに強く出られる対抗馬ルリグの登場
  3. 根強い人気を誇る高耐久ルリグは続投

これらデッキタイプの三すくみといえる状況となっています。

デッキ紹介

さて今回、紹介するのは高耐久ルリグの一角。《精華の聖歌 アン=フィフス》デッキです。
「今月のトップディーヴァは誰だ」でも度々TOP3に入っていることから、その実力はオリガミ付き。
そんなアンが貰った、「WELCOMEBACK DIVA ~Lostorage~」からの強化は《聖翠美 オリガミ》《聖翠美 シュレリス》の2枚です。
世間的なインパクトとしては薄めですが、個人的にはかなり嬉しい強化になっています。

デッキレシピはこちら。

まず、既存のアンデッキには白色エナ不足と、手札枯渇という2つの課題があると考えています。
従来のアンはデッキに採用されている白美巧の枚数に対して、ゲーム中に要求される白エナの枚数が結構ギリギリです。ルリグデッキでは《桜花の謳歌 アン=サード》《精華の聖歌 アン=フィフス》のグロウコストや、《プリンセス・ディフェンス》や繰り返し使用する《彫心鏤骨》《イレイザー・スマッシュ》など。
シグニデッキでは《文脈の攻防 モダーン》《高尚たる一筆 スイボク》《懐古の音色 リコダス》《思索の体現 *シンカー*》の自動効果。などなど採用しているカードにもよりますが、かなり多くの白エナが必要となってきます。
しかし、それに反してアンの主力シグニは《高尚たる二筆 カツホク》《不可思議な誇張 コンテンポラ》《壁面の芸当 グラフィ》と緑に集中しています。
では下級はと言うと、そもそもの白美巧の総数が少ないうえに、優秀だった《水流の打落 *マーライ*》が優秀過ぎた故に繭の部屋に吸い込まれてしまい、デッキバランスと白美巧の枚数確保の両立が難しい状況にありました。

また、環境的にアンが意識された結果、《不可思議な誇張 コンテンポラ》に対抗する手段を複数搭載しているルリグに相対する機会が増えました。
その結果、従来と比較して、形成した美巧盤面が容易に崩されるようになってしまいました。《壁面の芸当 グラフィ》などによって多少手札の節約ができるとはいえ、アンは減った手札の回復が得意なルリグではありません。何度も盤面を崩され、その度に新たな美巧シグニの展開を要求されてしまうと手札が枯渇してきます。
加えて、盤面を崩されてしまったが故に、攻撃から守るための《彫心鏤骨》の使用回数も増加します。
そうなってくると、盤面に並べる美巧+《彫心鏤骨》のアンコールコストも必要となり、ハンド消費はさらに加速します。
アンの使用者も、対面した人も終盤のハンド枯渇には覚えがあるのでは無いでしょうか?

これらを改善してくれたのが、《聖翠美 オリガミ》《聖翠美 シュレリス》です。

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白エナの確保になるのは言わずもがなで、純粋な高パワーによって序盤の場持ちもよく、非常に優秀な下級として仕事をしてくれます。
また、従来と比べて十分な白エナを確保できるようになったことで、《懐古の音色 リコダス》《思索の体現 *シンカー*》を安定運用することが可能に。これによって少し心もとなかったレベル5にグロウするまでの防御がグッと楽になりました。
ほかにも白エナが多い点は、先述したダッシュ系のデッキに対しても有効に働きます。こちらのルリグデッキにはキラーカードとなる《プリンセス・ディフェンス》が採用されていますが、それは相手も承知のこと。《コードライド カモツ》《小装 イワトオシ》などのエナ破壊で白色を奪うことでメタのメタを仕掛けてきます。白エナの少ない従来の構築では、白エナが削り切られてしまいせっかくの《プリンセス・ディフェンス》が撃てない状況にされがちでしたが、今回の強化によってその事象もかなり減ることでしょう。

そしてもう一つ、この2色バニラの恩恵に《図画の工作 *カミネンド*》のヒット率の爆増があります。
《図画の工作 *カミネンド*》はデッキ上2枚を確認し、白と緑の美巧を手札に加えられるシグニです。運がいいと2枚の手札を増やすことができ、非常に優秀なカードとしてほぼすべてのアンデッキに採用されています。とはいえ、2ヒットはかなりラッキーな事象で、基本的には1ヒットすれば上々といったところでした。

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今回の強化でそのヒット率が”確変”を起こしました。従来は緑に偏重しがちだった美巧シグニのバランスが、今回のデッキでは緑:白比率で24:22とほぼ半々に。そしてワイルドカードとなる白緑美巧が8枚入っているため、かなりの確率で2枚回収が成功します。道中でエナに単色美巧を固定して《高尚たる二筆 カツホク》による疑似リフレッシュ時に圧縮を掛けて、デッキの中の2色美巧の比率を上げてやれば、成功率はかなりの物になります。

素引きしたものを普通に、もしくは《壁面の芸当 グラフィ》でエナから登場させ、その後《精華の聖歌 アン=フィフス》の効果で《図画の工作 *カミネンド*》をバニッシュしデッキから新たな《図画の工作 *カミネンド*》に変換するだけで、最大4枚の手札を増やすことができます。アーツを使わずにここまでの手札回復ができるようになったのは革命といっても過言ではありません。
後半にバニラを多く引いてしまう点に関しても、《アロス&コードピルルク KEY》《彫心鏤骨》のコストになれるだけで偉いので、問題ありません。

このように《聖翠美 オリガミ》《聖翠美 シュレリス》は《アン》の抱えるイシューにコミットしアジャストしてポジティブなソリューションをもたらしたと言えるでしょう。
個人的にもかなりの自信作かつ、レベル1でコインを貰えることでさらなる強化も見込めるので、ぜひともお試しあれ。

キーセレクション

環境考察

キーセレクションはあまり環境が固まっていないというのが実状ですが、キーセレクションの環境は混沌としています。ザックリとしたイメージとして、エナ破壊or手札破壊によってリソースを奪うデッキと、キーをたくさん採用できる特性を活かして、これらのデッキのキラーカードとなる《レイラ=クレジット》を無理なく搭載した夢限。この2つのデッキで環境が二極化している印象です。

奪う側のデッキの代表格として《糾う者》が活躍しています。
「今月のトップディーヴァは誰だ」の1位にウリスがランクインしていますが、この大半は《糾う者》へとグロウします。《繚乱する花束 アルフォウVSハイティ》と相性のよい回復効果を持つ《狂騒の閻魔 ウリス》が登場したことにより、従来よりも多くのライフクロスとアーツを持ち越したまま、《糾う者》へとグロウできるようになりました。
ゲームが伸びれば伸びるだけ有利になれる《糾う者》にとってこの強化は非常に嬉しい点です。

また、各色に汎用的なカードが増えた結果、メインカラー以外のカードの採用枚数が増えている傾向にあります。この風潮に《糾う者》の専用シグニである《紡槍 アークエナジェ》が突き刺さります。指定した1つの色のアーツしか使えなくなるばかりか、状況によっては大量のエナを没収されてしまうので構築によっては負けに直結するレベルの被害を受けてしまいます。
現在のキーセレクションをプレイするうえでは意識しておきたいデッキの一つです。

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ほかにも、《劫末の唄鍵 ワールドエンド》による、エナを与えない除去に《羅婚石 ダイヤブライド》《紅将 ナベノツナ》のエナ破壊能力を合わせ、さらには《四炎楚歌》によるダメ押しで徹底的に相手のエナを絞るレイラ。
《コード・ピルルク・xi》の登場で、リソース獲得+手札破壊手段が一挙に手に入り、手札破壊デッキとして順当に強化されたピルルクが結果を残しています。

そして、これらのデッキの対抗馬として頭角を現してきたのが《レイラ=クレジット》を採用した夢限です。
ディーセレにて登場した《羅星 オフューカス》によって、1ターン目のメインフェイズにエナを確保できるカードが増えました。《コードアート T・M・B》と合わせて8枚体制となったことで、1ターン目からコイン獲得の成功率がグッと上がりました。
《レイラ=クレジット》《アロス&コードピルルク KEY》《繚乱する花束 アルフォウVSハイティ》と早期にアンロックしたいキーがたくさん存在する《夢限》にとっては嬉しい強化です。
また、《聖天姫 エクシア》の存在も非常に大きく、このカードを毎ターン並べながらゲームを引き延ばすことによって、疑似的な防御面数をドンドン稼いでくれます。

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リソース奪取に寄せていたデッキたちは、突如としてその持ち味を封じられ《夢限》の土俵で戦う事となります。
現在のキーセレクションのトレンドを汲み取った素晴らしいデッキです。

この《夢限》の登場により、奪う側のデッキがどのように変遷していくのか、これからの環境の流れに注目です。

デッキ紹介

さて、今回紹介するキーセレのデッキは《武踊の記憶 リル》によって強化されたリルのデッキです。
《武踊の記憶 リル》の登場によって、キーセレでは初めて6枚以上のコインを使えるようになりました。

《真・遊月・鍵》《永遠の鍵 タマヨリヒメ》など、必要コイン枚数に比例して明確に強力なカードがそろっているので、多くのコインを貰えればそれだけ、デッキ自体のパワーも向上します。
その最たるが《血晶魔杖》でしょう。4枚と言う莫大なコインベットと引き換えに1エナで全面バニッシュと言う、破格の防御性能を行使できます。
今まではこのアーツを採用すると、ルリグのコイン技かキーのアンロックのどちらかを諦めなければならず、綺麗にデッキに組み込むのは中々に難しい状況でした。

ですが、合計で7枚のコインを獲得できるようになったリルなら話は別。
《血晶魔杖》を使ったうえで、好きなキーをアンロック可能になりました。
これはかなり嬉しい強化と言えるでしょう。

さっそくですが、デッキレシピを紹介します。

従来のキーセレのリルが抱えている課題は、ハッキリ言うと力不足。
結果を残しているデッキと比較すると、火力、リソース面、限定カードの強さ。どれを取っても物足りなさがありました。
(とか書いてたら、11月のトップディーヴァにランクインしてました……私の勉強不足ですね)

そのため、今回は入手したコインを活かして最大限パワーが出せるような構築にしてみました。
リソース面と3ターン目の要求補助を《サポーター 明治&有栖&江良》に。そしてリルの抱えるパワー不足を《コードピルルクAPEX KEY》《血晶魔杖》によってカバーします。

ところで、ディーセレのシグニによって、リルのとあるスペルが超強化されていたことにお気づきでしょうか?
そのスペルとは《円弧の精炎》です。デッキからライズシグニを持ってこれるので実質手札消費なしでバニッシュを行使できる非常に強力なスペルです。しかし、キーセレで使えるライズシグニはすべてレベル4でした。そのため、4ターン目までは引いても腐ってしまうことから、大量には採用し辛いスペルでもありました。

それが《コードアート ララ・ルー//メモリア》《紅将姫 クーフーリン》など、優秀な下級ライズの登場により、序盤から使っていけるようになりました。
特に無限が流行している背景から、《セレクト・ハッピー5》を無効化できる《コードアート ララ・ルー//メモリア》を上手に扱える点は高評価です。

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そして《円弧の精炎》《紅将姫 クーフーリン》が登場したことによって《コードピルルクAPEX KEY》との相性がバツグンによくなりました。ライズ元を必要としない《紅将姫 クーフーリン》のお陰で、盤面が空の状態でも《円弧の精炎》から出すことができます。そして最大パワー15000以下のシグニを焼きつつ、《コードピルルクAPEX KEY》の効果で追加の1面をバニッシュ。最後にバニッシュ耐性を持つ《紅将姫 クーフーリン》が盤面に立つことで、エクシード2+3エナで3面防御が成立します。
これを2回分繰り返すことができるので、《コードピルルクAPEX KEY》がキーセレとしては驚異の6面防御になります。
ここに《血晶魔杖》が加わることで、2枚のルリグデッキだけで最大9面分の防御を確保できます。
かなりパワフルになったと言って差し支えないでしょう。

また、それなりの火力をルリグデッキで確保できているので、点数要求の基盤を従来の《極装 ハイメイル》を主軸としたアーム軸にする必要がなくなりました。そのため、今回のメインデッキにはメタ効果を持ったシグニを多数搭載しています。これによっていろいろな角度から攻められるようになったと考えています。

此方のデッキも叩き台として伸び代十分なので、ぜひお試しあれ。

最後に

いかがでしたか?

劇的ではありませんが、ディーセレのカードによって下環境も変遷しています。
特にキーセレは、ユーザーによる研究の余地がある印象で、まだ見ぬ強力な組み合わせがゴロゴロ転がっているような気がしています。
今回紹介した《円弧の精炎》《紅将姫 クーフーリン》《コードピルルクAPEX KEY》の組み合わせも、実は「WELCOMEBACK DIVA~selector~」の頃からできてましたからね。
考えいてメチャクチャ楽しいフォーマットですので、ディーセレしかやったことないよってセレクターの方はぜひ、キーセレクションとオールスターにも手を伸ばしてみて下さい。

以上です。また次回の講義でお会いしましょう!!

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