デュエル・マスターズの狙ったわけではない熱狂。いろんな"好き"が集まって生まれた絆

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2026年6月14日(日)の神戸国際展示場は、朝9時の開場前から多くの方が長蛇の列をなしていた。お目当てはデュエル・マスターズ25周年ツアー。

"カードゲームであるデュエル・マスターズが全国ツアー?"と不思議に感じるが、さらに驚いたのは音楽フェスさながらのその熱狂だ。ステージでの歴代声優や主題歌を担当したアーティストによるパフォーマンスはもちろん、対戦ブース、展示ブースなど、世代もカードゲームに対する熟練度も異なる層が渾然一体となって楽しむ光景が広がっていた。

コアなファン以外がクローズドになりがちなイメージがあるカードゲームの世界で、コアプレイヤーとライト層が心地よく同じ空間にいる違和感。
この謎をとくために、TCG事業部の室長であるデュエマ大好きな人に話を聞いた。

今回話を聞いた人

デュエマ大好きな人

デュエル・マスターズ 責任者

デュエマ大好きな人さん

デュエル・マスターズに携わって10年以上になる。2013年にカード部門へ配属された当初は、まだ関係の薄かったカードゲーム専門店を一軒ずつ回る日々だったという。
現在デュエル・マスターズの大型イベントを主催する会社の多くは、その頃にデュエマ大好きな人が築いた縁でもある。大型大会の配信席にも立ち、休日は息子とカードを囲む。作り手であり、売り手であり、そして誰よりもデュエル・マスターズを「世界一面白いカードゲーム」と信じるファンでもある。

お互いが好きなデュエル・マスターズを共有し合う光景が広がっていた

デュエル・マスターズの風景

デュエル・マスターズ25周年ツアーの会場では、声優や歴代アニメの主題歌を担当したアーティストによるステージ、歴代アニメを振り返るパネル展示ブース、対戦ブースを中心に盛り上がりを見せた。
その熱狂をデュエマ大好きな人はこう振り返る。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

本当にね。ステージ前は常に人で溢れていましたし、実はリハの段階から、出演者の皆さんの熱量が非常に高く、予定時間を忘れるほど、トークが盛り上がっていました。イベント当日もその熱気がオーディエンスに伝わったのか、拍手が鳴り止みませんでした。

他にも、歴代のデュエル・マスターズのアニメ作品に関する展示も、熱心に見ていただいている方がたくさんいて、それぞれ自分の好きな思い出のキャラクターを振り返って話し合っているのを見て感動しました。

来場された皆さんからSNSでも"神イベント"などと多くの反響をいただき、関係会社の皆さんからも"今回のイベントやってくれて本当にありがとう"という温かいお言葉を頂戴し感無量です。オーディエンスをはじめ関係者の熱量が非常に高い状態で開催されたイベントでした。

年齢や性別を超えた多様な来場者。
その高い熱量の源を、デュエマ大好きな人は二つに分けて語った。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

まず、デュエル・マスターズというゲーム自体の面白さがベースにはあります

その上で、本ツアーではデュエル・マスターズをいろんな角度で好きな人たちが一つの場所に集まってくれたという印象を受けました。
漫画が好きな人、アニメが好きな人、声優が好きな人、ドラゴン娘が好きな人、コスプレするのが好きな人、対戦するのが好きな人、グッズを集めるのが好きな人...。

デュエル・マスターズに対するいろんな好きが集まっていて、その集合体が心地よくコミュニケーションを取っているんですよね。お互いが好きなものを話し合って、お互い相手に対してすごくリスペクトを持って話している姿をいっぱい見て、"デュエル・マスターズ"を通した深い絆みたいなものを感じましたし、感じられて本当に良かったなと思いました

カードゲームの勝ち負けによる面白さだけではなく、コンテンツとして深みがある。それがこれほど多様なファン層を生み出しているのだという。
"デュエル・マスターズを通した深い絆"というのは意図して設計したのだろうか。


デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

いや、そこは意図していないです。我々がやってきたのはデュエル・マスターズという素晴らしいIPに触れてもらうために、どういう入り口を作っていくか、どうやって入り口を増やしていくかということでした。

その結果、一言でデュエル・マスターズといっても、いろんな好きを持った人がいてくださっているのだと思います。

当初ドラゴン娘は「大丈夫か?」という反応だったけど

インタビュー風景

今でこそ順風満帆に見えるデュエル・マスターズもコロナ禍で苦しい時期があった。
最大の強みだった"みんなで集まって遊ぶ場"を失い、方向性を転換する必要に迫られていたという。
今につながる進化は、ある時期を境に生まれた。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

デュエル・マスターズは複数の企業が連携して展開しているプロジェクトで、これは業界的にも珍しい体制です。
そして、各社の担当が全員デュエル・マスターズ好きで、"自分の思うデュエル・マスターズを表現したい"思いを持っていました。

コロナ禍がきっかけとなり、これからのデュエル・マスターズをどう発展させていくべきか、会社の垣根や役割を超えて率直に議論を重ねてきました。
その積み重ねの中で、"面白いと思うならやってみる"という行動スタイルが自然と我々の中で確立されてきました。

やりたいと思った人がいて、範疇にあるならみんなが全力で応援する
、それがデュエル・マスターズの企画力に繋がっていると思います。
今でも毎日のように顔を合わせて議論しています。

デュエマ大好きな人が出演しているデュエチューブもそんな流れの中から生まれたYouTubeチャンネルだ。
公式からの発信をどう強化するか考える中で、デュエル・マスターズについてより楽しく知識を得られるものをという想いで企画したという。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

もともとデュエル・マスターズの宣伝媒体としてはコロコロコミックの誌面があり、カード能力解説のような情報をお届けしていました。

しかし、世の中全体的にウェブ上での情報発信が溢れてきている中、どういった形で情報を届けるのかをみんなで考え、できたのがデュエチューブです。

みんなで面白いと感じたアイデアを、チーム一丸となって形にしていく。そんな姿勢が、このチャンネルにも現れています。

もちろん企画としてなんでも実現できるわけではない。
あくまでデュエル・マスターズというコンテンツの中に収まるのが条件になるが、そのせめぎ合いが最もチャレンジングだったのがYouTubeアニメ『ドラゴン娘になりたくないっ!』だった。
デュエル・マスターズの象徴的な存在であるドラゴンが女の子になってしまうという設定は、これまでにはない挑戦的なアイデアだったこともあり、企画段階では様々な意見が交わされたという。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

これまでのデュエル・マスターズにはなかったアプローチなので、"本当に大丈夫なの?"と心配されていたのが実のところです。私は割と早い段階で相談を受けたのですが、正直なところ自分にはどんなものになるか想像がつきませんでした。

"イメージできる人がいて、それが面白そうならやってみていいんじゃない?"と答えたことを覚えています。うまくいかなかったら、それはそれかなと。

それが今では『ドラゴン娘になりたくないっ!』のYouTubeチャンネルの登録者数はデュエル・マスターズ公式の倍以上、50万人を超えています。結果としてみんなが楽しんでくれるものになりました。

確信がないままでも面白そうに賭けられる文化があったのが、『ドラゴン娘になりたくないっ!』の実現と成功の鍵となったといえるだろう。

いろんな楽しみ方ができるのがデュエル・マスターズの真骨頂

ベースにあるカードゲームの面白さ

様々なコンテンツが渾然一体となり、デュエル・マスターズの世界観は広がり続けている。
広がれば広がるほど、様々な層に魅力が届いているのは理解できた。一方、デュエマ大好きな人がベースにあると語る"カードゲームとしての面白さ"とは何か。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

私自身、いろんなカードゲームをしてきましたが、世界一面白いカードゲームはデュエル・マスターズだと信じています。

カードゲームには"経験や知識が豊富な人ほど有利"というイメージを持たれることもあります。デュエル・マスターズはそんなことなくて、初心者でも歴が長い人や知識があるプレイヤーに勝てることもあります。

事実私自身30代前半からカードゲームを始めましたが、大会で実績を残しているチームメンバーにも、たまに勝てたりもします。気は使われているかもですが(笑)。

競技的にカードゲームに向き合っているプレイヤーは"運要素が少ないゲームが良い、なぜなら自分の実力がそのまま盤面に現れるから"という考え方になりがちだという。
しかし、やっぱりいろんな楽しみ方があるのがカードゲームであるというのがデュエマ大好きな人の持論だ。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

私の体験で言うと、UNOやトランプをやる感覚で友達や家族とやるデュエル・マスターズってすごく楽しいんですよ。

例えば、私と息子がデュエル・マスターズで遊ぶときは、ワンボックスを2人で買ってきて開けて、好きな文明を選んでデュエルするんですが、それが一番面白い。
必ずしもカードをたくさん持っていなくても、誰でも楽しめる、いろんな楽しみ方ができる点が魅力です。
そういうところからはまっていって、自分らしいデッキを組みたいとなるのも全然OKです。年齢関係なく楽しめるのがデュエル・マスターズです。

そういえば、デュエル・マスターズは"逆転こそがカードゲームだ。大人も子どももひっくり返せ"というキーワードがあるんです。
誰もが楽しめるデュエル・マスターズの思想が込められています。

好きでいてよかったを届けていきたい

これからのデュエル・マスターズ

最後に改めて25年間の振り返りと、未来に向けての展望を語ってもらった。

デュエマ大好きな人 デュエマ大好きな人

おかげさまで、ユーザーの皆さまに支えられ、年齢層も楽しみ方も幅広くなりました。
戦略的につないでマーケティングしようと考えるより、続けるべきは"デュエル・マスターズって楽しいな"と思ってもらえるように、準備をしていくことだと思っています。

また、メインの漫画・アニメ以外にも、スピンオフ的なコンテンツがたくさん生まれています。
作り手それぞれが"自分の解釈のデュエル・マスターズを作りたい"と思ってくださっていて、そういう方が年々増えているんです。
毛色の違うものも含めて、その一つひとつを、タカラトミーができる限り広く、良い形でお届けするのが我々の役割だと思っています。

今後もデュエル・マスターズの裾野を広げていき、楽しんでくれる仲間が増えるように頑張りたいです。
"デュエル・マスターズでこんな体験ができるのか"という新しい驚きと、"好きでいてよかった、一緒にやってくれる友達がいてよかった"という感動をお届けします。


小学生、コアプレイヤー、親子連れも、同じカードで熱くなっていた。
会場で見た光景は、誰かが層を分けて設計した結果ではなかった。

デュエル・マスターズが好きで、自分の思うデュエル・マスターズを表現したい。その思いを会社の枠を超えて持ち寄り、「面白そう」を重ね続けてきた。ドラゴン娘も、デュエチューブも、その一つひとつだ。

そして、その積み重ねを、世代を超えて受け止めているのがデュエル・マスターズというゲームそのものの間口の広さである。誰でも入れて、時に子どもが大人をひっくり返せる。その自由さがあるから、25年分の「面白そう」が一つの場所に溶け合える。

狙わなかったからこそ、ここまで広がった。それが、25周年ツアーが映したデュエル・マスターズの現在地なのだと思う。

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