もっとリアルにできる。それでもTOMICA REBORNが変えなかったもの

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子どもの頃に遊んだトミカの感触を覚えているだろうか?

床の上で手転がしして遊んだり、ドアを開いたり閉じたりしたり、トミカを通じて車が好きになったという方も多いかもしれない。

そんな思い出のトミカを今の技術で復刻させたらということで生まれたのが「TOMICA REBORN」だ。
さぞや精巧で新しい機能があるトミカになっているのだろうと思ったら、意外な姿が明らかになった。
そのコンセプトについて企画開発担当 のYFさんに話を聞いた。

今回話を聞いた人

YF

TOMICA REBORNの企画開発担当

YFさん

入社時は営業事務を担当。その後イベント事業に携わり、トミカ博の運営を通じて企画開発業務に関わるようになる。
子どもの頃に父の影響でトミカに親しんだ以外は、車やミニカーに特別詳しかったわけではなく、"お客さまの方がトミカに持つ感覚とほぼ同じ"という距離感を出発点に開発に加わった。
現在は「TOMICA REBORN」のほか、「トミカプレミアムRacing」、「トミカプレミアムunlimited」なども担当している。

サスペンションがついているトミカが子ども心に刺さっていた

YFさんインタビュー風景

YFさんはもともと社内で別業務を担当しており、トミカや車自体に特別マニア的なこだわりがあったわけではない。
しかし、トミカで遊んだ原体験を持ち合わせている点で、「TOMICA REBORN」を担当するにはうってつけの人物だった。

YF YF

熱心なファンではなく至って普通の距離感というか。

お客さまの方がトミカに対してもつ感覚とほぼ同じだと思います。子どもの頃遊んだな、楽しかったなみたいな。

私の家にも小さい頃はトミカがありました。縁あって仕事で担当することになり、実際に手に取ったりすると昔のことを懐かしく思い出します。

子どもの頃にトミカのようなミニカーで遊んだ経験は多かれ少なかれ誰もが持っているだろう。
しかし、トミカとそれ以外を子どもが認識できるほどの違いはあるのだろうか。

YF YF

もっともわかりやすいポイントはサスペンションがついていることだと思います。
トミカを上から抑えた時にバネの反発を手に感じるんです。

これは子どもが手遊びをする上で直感的な楽しさを感じる部分だと思います。
小さい頃、父に"こういう車種のトミカが欲しい"って言って買ってきてくれたものが、違うメーカーのミニカーだったということがありました。

大人からしたらトミカでも他のメーカーのものでもミニカーなら同じでしょと思ったのかもしれませんが、子どもの私からしたら、やはり感触等が全然違うのですごく残念だったのを覚えています。

デザインやアクションは極力変えずに当時の思い出を再現

TOMICA REBORN

トミカには「TOMICA REBORN」の他にも「トミカプレミアム」をはじめとして様々な種類がある。
どのような差別化を図っているのだろうか。

YF YF

「TOMICA REBORN」は、トミカが55周年を迎えるにあたって、過去に発売終了した商品を復刻させようというコンセプトで始まりました。

一方、「トミカプレミアム」は大人が楽しめるトミカということで、大人目線で満足できるつくりになっています。

復刻というコンセプトにおいては昔トミカで遊んだことがある大人が、「TOMICA REBORN」を触って「これこれ!」と感じることが重要だ。
だからこそ特定のポイントは当時のまま再現することをオリジナリティにしているという。

YF YF

触感でいうと、先ほども申し上げたサスペンション。
あとはタイヤのスムーズな動きもトミカらしさだと思います。

当時の印象を崩さないために、当時と同じスケールで商品化しています。
他にもトミカのアクションとしてドアの開閉ができるのも楽しいポイントなので、そこも当時と同じように再現しました。

当時遊んでいた大人が懐かしく感じて、子どもたちとも一緒に遊んでくれればうれしいなという思いを込めています。

懐かしさと新鮮さのバランスが大事

TOMICA REBORN

とはいえトミカは登場から55年を超え、当時の技術ではできなかったことでも今ならできることが多いはずだ。
開発にあたって、もっと新しい要素を盛り込もうとはならないのだろうか。

YF YF

開発を行うにあたってはチームのメンバーと、どの車種を「TOMICA REBORN」で出すか、デザインはどうするか等を話し合って決めていきますが、基本的なところでは大きく意見がぶつかることはないです。

やっぱり、昔のままのトミカを家族で遊んで欲しいという想いはメンバー間でしっかり共有できているのだと思います。

意見が割れないのは、迷いがないからではない。
今ならもっと作り込める、という誘惑は常にある。

YF YF

その上で各メンバーの思い入れみたいなもので、議論が白熱することはあります。

例えば、リアウイングだったら今の技術を使えば別パーツにして、もっとリアルにできるという意見もありましたが、あえて当時の仕様に留めました。

やりすぎると「トミカプレミアム」に近づいてしまい、「TOMICA REBORN」のコンセプトからはなれてしまうので、あくまで当時の再現というところをメインとする、そこはブレないような塩梅が大切だと思っています

精巧さは「トミカプレミアム」がすでに引き受けている。
「TOMICA REBORN」が担うのは別のポイントだ。手に取った瞬間に"これはトミカだ"と体が思い出すこと。

また、その線引きは、変えないと決めた要素にも表れている。
スケール、ドア開閉、サスペンション。ここを絶対に変えないことで、"これこそトミカ、他のミニカーとは違う"と直感でわかるものになっている。

YF YF

トミカの登場から55年を超え、当時より印刷や塗装の技術も大きく発達したので、基本的な構造は変えなかったとしても、単なる復刻ではなく新鮮な感じもある程度加えることで、「TOMICA REBORN」と言えるかなと思います。

もちろん新しい技術はたくさんあるものの、あえてそこは入れ込み過ぎずにというのが、懐かしさを感じてもらいつつまた手に取りたいと感じてもらえるポイントかと思います。

変えない、と、新しくする。
相反して聞こえる二つは、YFさんの中では地続きだ。
技術は使う。だが、使えるからといって全部を盛り込みはしない。

進化させる部分と、トミカらしさとして大切な部分を選り分ける。
その線引きの結果が「TOMICA REBORN」なのだ。

みなさんそれぞれの「思い出のトミカ」を継承してほしい

TOMICA REBORN

「TOMICA REBORN」がこれまで守ってきた"変えない/作り込まない"というコンセプトの先に行き着くのは、オリジナルの発売当時を知る親世代から子世代・孫世代への"ある願い"の継承だ。

YF YF

「TOMICA REBORN」を通じて、大人から子どもに思い出を共有してもらい、世代間でトミカの思い出を継承してもらいたいなと思います。

これまでトミカはスポーツカー、乗用車、クレーンや消防車のようなはたらく車まで、様々な車種を発売してきており、どのトミカに思い出があるかはそれぞれ違うはずです。

皆さんの思い出が埋まるまで、様々な車種を「TOMICA REBORN」としてリリースしていきたいです。


今の技術ならできるのにあえておさえることで、親世代のノスタルジーを引き起こし、次の世代と一緒に遊ぶことで、また新たな思い出となって継承されていく。

思い出が単に引き継がれるだけでなく、家族でリミックスされる「TOMICA REBORN」は その名の通り"生まれ変わり"を体現したおもちゃといえるのではないだろうか。

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