【バトル攻略コラム】
ウィクロスアカデミー「ディーヴァグランプリ2025AUTUMN」メタゲーム解説
みなさんこんにちは、ウィクロスアカデミーの時間です。
今回も講師を務めさせていただきます、からばこです。
「ディーヴァグランプリ2025AUTUMN」、お疲れ様でした!
439人という過去最多の参加者数で行なわれた激闘。情熱の余韻が冷めぬうちに、メタゲームを振り返っていきたいと思います。
前回の環境予想と合わせて、お楽しみください。それではいってみましょう!
エナへの圧力が重い!
まずは全体のルリグ分布から。
上から順に「リメンバ」「夢限」が22人、「ひとえ」「ピルルク」が20人、「緑子」「ミュウ」が19人となっています。
使用率で見ると、順に5.01%、4.56%、4.33%で、ほぼ同列と見ていい割合です。次点で「ソウイ」が17人、3.87%ですね。このあたりまでを使用率上位として、今回の記事を進めていきましょう。
「リメンバ」「夢限」は、2025年度のトーナメントシーンで長く活躍し続けているデッキです。「あきら」「ひとえ」の2トップが「繭の部屋」で規制される以前も高い人気のデッキでしたが、「あきら」「ひとえ」の規制を受け、トップまで上がってきました。
「リメンバ」「夢限」は共に、青のカードによる手札破壊や凍結、白のカードでの防御やトラッシュ送りなどで、相手の妨害をしながら戦う長期戦向けのデッキです。「RESONANCE SELECTOR」で《スター・ダスト》や《ブリザード・ウィング》などが登場したことで、その戦略がさらにパワーアップしているようですね。相手のライフクロスを減らすのには時間がかかりますが、デッキの安定感や総合力も高く、予選8回戦の長丁場のグランプリでは特に人気になりがちです。
「ピルルク」も「リメンバ」「夢限」に近い、「青白系」のデッキの一種でしょう。
《コードアート Yキソバキ》と《電熱の覚醒》をセット採用した《ロストコード・ピルルク》や、従来の「青白ピルルク」など、こちらも相手の妨害が得意なデッキです。「ソウイ」も凍結&手札破壊で相手を妨害するという点では、「ピルルク」と似た戦略を取ります。凍結で相手の動きを鈍らせつつ、【アサシン】でじっくり追い詰めていきますね。
ピルルクの<電機>にもソウイの<武勇>にも、デッキに採用されやすい赤シグニがいるので、《炎剣之舞》が使われるケースもあったようです。
上記4デッキは共通して、相手の妨害を非常に得意としています。
じわじわと追い詰め、ライフクロスを少しずつ減らし、じっくりと勝利を狙う。長丁場のグランプリではライフバーストで逆転されるリスクも多いですから、それを可能な限り抑えられるこれらのデッキは、人気が出る傾向にもあります。
ルリグ分布の続きを見ても、「サオリ」「タマ」は《スター・ダスト》によるエナへの圧力、「タウィル」は手札に戻す、「ヤミノ」は【アサシン】でエナを与えない、「ララ・ルー」はエナ破壊というように、エナへの圧力は相当なメタゲームだったようです。
さて、「ひとえ」「緑子」「ミュウ」についても見ていきましょう。
「ひとえ」は「繭の部屋」の規制を受けてもなお強力です。前回の記事でも注目ポイントとして挙げさせていただきましたが、俄然人気です。構築は人それぞれあるようで、緑中心、緑+黒など、「自分にとってベストなひとえ」を持ち込んでいた印象です。ただ、「植物ガード」のほころびはあるようで、ベスト16へは1人も上がれませんでした。植物ガードは確かに強力ですが、そこでエナを消費しすぎてしまうと、反撃のためのエナがなくなってしまいがち。エナへの圧力が大きな環境だと、デッキの長所が逆にアキレス腱になってしまったようです。「LUMINOUS SELECTOR」では《天弓へ一歩 ヒラナ》や《虚幸の閻魔姫 ウリス》など、ルリグアタック強化やガード不可ができるシグニが登場するので、逆風はさらに強まるかもしれません。
「緑子」は<地獣>軸の《讃型 緑姫》と、ライフクラッシュ連打とゲーム1能力で駆け抜ける《参上 緑姫》の2種類が存在します。前者は<地獣>シグニのパワフルさ、「ワナ」でのエナ破壊と盤面再現性の高さ、そしてアーツの選択肢の広さなど、メタゲームで息の長いルリグです。《参上 緑姫》は《アーク・ライト・オーラ》を《スター・ダスト》に変えた構築が生まれているようで、序盤からエナへの圧力がさらに上がっています。
そして「RESONANCE SELECTOR」からはミュウが、使用率上位に登場しました。
《幻蟲姫 ヘラカブト》《幻闘蟲 オオムラサキ》《幻蟲 イナゴ》など豊富なマイナス手段、あきらの《壱ノ遊 カゲエ》に相当する《幻蟲 ダンゴムシ》など、非常に質の良いシグニを大量に得ました。《ミュウ=パピヨン》の「サイレント」は、自動・起動能力に除去を頼ったデッキは実質の1ターンストップとなりますし、1ターンに2回発動する自動能力でデッキ破壊もできるため、火力は非常に高いです。高パワーなシグニも、《幻蟲 ヒグラシ》でマイナスの値を2倍・3倍にして突破できます。
《スター・ダスト》や《ブリザード・ウィング》にアーツの枠を割いたデッキは、防御アーツが手薄になるケースがあるため、ミュウはそこを狙って乗り込んできたようです。かなり良質なビートダウンデッキとして、今後も注目されていきそうですね。
ベスト16のデッキからわかること
続いてはベスト16の分布です。
予選で7勝1敗以上の15人と、6勝2敗から1人が勝ち上がるトーナメントです。予選参加人数が多いぶん、どんどん狭き門になっていきます。
そんなベスト16の分布は以下のとおりです。デッキの詳細はこちらからご覧ください。
- 夢限 5人
- リメンバ 2人(ブルアカ軸2人)
- 緑子 2人(地獣軸1人、参上1人)
- サオリ 2人
- 防衛派タマゴ、ミヤコ、ソウイ、イオナ、闘争派カーニバル 各1人
夢限が圧倒的多数! ここまで息の長いデッキになるとは……。メインデッキやルリグデッキを見てみましょう。
ルリグデッキには《スター・ダスト》が採用されており、エナへの圧をかけていく戦略が見えます。夢限の立場で考えると、《夢限 -Q-》の出現時能力や《リゲット・バイブル》などで《サーバント #》が確保しやすく、それを【ルリグバリア】に変換し、確実にガードできる点でも相性抜群。抜けた枠は《シャイニング・ソード》で、序盤の防御がやや薄くなっていますが、それを考えても余りある性能なのでしょう。
メインデッキの構築はそれぞれ異なるようですが、注目のカードは《聖天姫 オーズ》と《聖天姫 アークゲイン》です。
《聖天姫 オーズ》は「RESONANCE SELECTOR」で登場した最新カードの1枚です。
常時能力で、他の白シグニが相手の効果によって能力を失わなくなります。《聖天姫 エクシア》や《コードハート リメンバ//メモリア》などの対策である「能力無効」に対してのカウンターとなる能力で、夢限の弱点をひとつカバーしています。自動能力も夢限と相性がよく、《夢限 -A-》に裏返ってからの打点となるため、相手からの逃げ切りを完遂しやすくなりそうです。
そして《聖天姫 アークゲイン》。こちらはディーセレ1弾の古株で、シンプルに【シャドウ】を買っての採用でしょうか。《スター・ダスト》を採用したことで防御アーツが減ったため、《夢限 -Q-》グロウ後の早期から【シャドウ】で盤面を固くできるのが嬉しいですね。【ランサー】【アサシン】は《幻水姫 シィラ》でカバーする狙いでしょう。抜けた枠は《羅星姫 マゼラン》のようですね。
準優勝のサトー選手を筆頭に、ベスト8や16、予選上位卓の顔ぶれを見ると、長く「夢限」を使い続けたプレイヤーが多い印象でした。同じ夢限デッキを使う者同士、デッキやプレイングの相談や情報交換をしている姿を私も何度か見ています。今回の結果の背景には、そんな切磋琢磨がある気もしますね。
そして「ブルアカリメンバ」も入賞です。センタールリグ《共宴の巫女 リメンバ・ディナー》の高い安定感、ブルアカシグニの質の高さなどが自慢のデッキです。アーツは《スモーク・ストップ》でエナ破壊への耐性を高めたり、《ダンシング・ソード》で大型防御を行ったりなど、環境を意識していますね。
《小鈎ハレ》は採用されず、代わりに《下江コハル》《合歓垣フブキ》で序盤を固くしています。一方《若葉ヒナタ》《戒野ミサキ》でアクセルを踏んだりなど、相手や状況によってしっかり対応できそうです。今後もメタゲームに合わせて、細かなチューニングが行なわれていきそうです。
ただ、プレイ難易度は非常に高く、考えることがたくさんあるデッキ。今から極めるにはかなり大変そうですが、ひとつのデッキを突き詰めたい方は、トライしてみる価値はありそうです。私はデッキの下が覚えられません。
分布1からは「防衛派タマゴ」「イオナ」をピックアップしましょう。
「防衛派タマゴ」はアシストルリグに、「RESONANCE SELECTOR」で登場した《カーニバル ー選ー》が採用されています。ルリグアタックの際に相手のシグニ1体をトラッシュに置けるため、<防衛派>シグニと合わせて、どんどん相手のシグニを消していきます。下級シグニは<防衛派>シグニでデッキに戻し、上級シグニはカーニバルでトラッシュに送ることで、相手のデッキを弱体化できるのも魅力。ひたすらドロー・エナチャージし続けるのももちろん強力です。
「イオナ」は緑黒白のスタンダードな構成です。
ルリグデッキには「RESONANCE SELECTOR」収録の《トライデント・サンダー》を採用。リコレクト4を達成すると、表記されているパワーと異なるパワーのシグニがアタックできなくなり、これが《エニグマ/メイデン イオナ》のゲーム1能力「クレイヴ」や、《コードラビラント ルーブル》《大幻蟲 ベル・クリケット》と好相性。《聖天姫 エクシア》もおり、イオナ側の3体すべてのシグニを除去するには、意外と手間がかかるものです。
また、「イオナ」は除去のコスパが非常に良いデッキです。《エニグマ/メイデン イオナ》の自動能力や《グレイブ・イブニング》で「マイナス5000ゾーン」を作り、<迷宮>シグニの「相手のシグニを動かす」能力で、そのゾーンに相手シグニを放り込めば、ぽんぽんとシグニが溶けていきます。《コードラビラント ルーブル》と組み合わせれば、大型シグニもお手の物です。
<迷宮>シグニの持つ「相手シグニを動かす能力」の多くは出現時能力で、エナコストがかかりません。エナへの圧力が重くても通常通りの除去ができ、浮いたエナを防御に充てられます。メタゲームに合った立ち位置のようで、イオナファンにとっては嬉しいニュースです。
さて、優勝はみや選手の「闘争派カーニバル」でした。アーツでライフクロスを4枚クラッシュする、前回のグランプリで生まれた戦略です。
<闘争派>シグニは【エナチャージ】の手段が豊富かつ、除去のコストがコインなので、エナなどを節約しやすい傾向にあります。エナへの圧力が重いメタの中でも立ち回りやすく、アーツをフルに使ったうえで、《今昔之感》にもエナが回せるのでしょう。リミットアッパーを使わないため、手札にレベル3が残りやすいのもあるのでしょうか。
プレイヤーのみや選手は、2024年冬のGPでベスト4、昨年の夢限少女杯本戦でベスト16。その戦績すべてをこの「闘争派カーニバル」で残しています。デッキの強さはもちろんですが、みや選手の経験値と力量ゆえの結果とも言えるでしょう。本当におめでとうございます。
準優勝のサトー選手の「夢限」、ベスト4のかずや選手の「緑子」も、そのデッキを長く使い続けたプレイヤーが残した結果です。お二人ともウィクロスセレモニーなどで頻繁に優勝、入賞している姿を見ますが、使うデッキは決まって「夢限」と「緑子」でした。長く長くひとつのデッキを使い続けたからこそ、たどり着いた極地なのだと感じます。
自分のデッキの立ち位置はどこ?
メタゲームの話に立ち戻りましょう。
最大母数は「リメンバ」、「夢限」でしたが、その割合は5%と非常に少ないです。戦略の傾向としては「エナへの圧力」と判断してよさそうですが、結論としては「群雄割拠のメタゲーム」です。どのデッキを選ぶかはもちろんですが、多くのデッキの知識や、自分のデッキへの理解などが求められる、難しい環境になりました。
無限の「植物ガード」でトップメタに君臨し続けていた「ひとえ」も、そろそろ世代交代の予感。GPだけを見ると、この後は青白系が幅を利かせそうに見えますが、《スター・ダスト》などで防御が薄くなっている面もあるため、黒や赤、緑などのビートダウン系にもチャンスはありそうです。
デッキ選択やデッキづくりの際は、そのデッキがメタゲームのどの立ち位置にあるかを、広い視野で見通してみましょう。「自分のデッキは青白系にはこう戦う」「速攻系には不利だから、対策が必要だ」のような、ざっくりとした部分からスタートすると、方針が立てやすいと私は考えています。デッキづくりやメタゲームの判断は人それぞれありますが、迷っている方や不慣れな方は、ざっくりとした一歩からスタートしてみてはいかがでしょう。
さて、デッキ選択や構築のアイディアに役立つのが、今回からX(旧ツイッター)で始まったキャンペーン「#ディーヴァグランプリ完走」のハッシュタグです。本戦で最終戦までたどり着いたデッキが多数投稿されており、たくさんのヒントが眠っています。また「#ディーヴァグランプリ完走失敗」というタグもユーザー間で自然発生しているようで、こちらにも情報が盛りだくさん。私も完走失敗に投稿しておきます。
おわりに
というわけで今日のまとめです。
- GPの最大母数は「夢限」「リメンバ」で、決勝トーナメントも同様。エナへの圧力が重いメタゲーム。
- トップメタの「ひとえ」は母数が多いも振るわず。立ち位置はより厳しく?
- 分布はバラバラの群雄割拠。環境理解や知識が大切!
グランプリは終わりましたが、この環境は始まったばかり。
どんなデッキが登場するか、今から楽しみですね。次の強力デッキを生み出すのはあなたかも!
末筆になりますが、「WIXOSSOXPO」はユーザー出展に「WIXOSSBOX編集部」として参加させていただきました。
多くの方に訪れていただき、温かいお言葉をいただきました。大変ありがとうございました。この場を借りて御礼を……。
ではまた次回の更新で!


















