【バトル攻略コラム】

ウィクロスアカデミー番外編

ディーヴァグランプリ7th決勝戦解説!!

はじめに

みなさまごきげんよう、ウィクロスアカデミーのお時間です。
講師を担当する「しみずき」です。

今回の授業は大型大会後恒例の試合解説になります。

解説するのは「フェゾーネ DIVA with 電音部」環境を締めくくる「ディーヴァグランプリ7th」(10月21日開催)の決勝戦の試合です。
現在は「ブルーアーカイブ DIVA」が発売されて環境も変わってしまいましたが、「ディーヴァグランプリ6th」「ウィクロス九州フェスティバル」を経て、この環境の構築やプレイングがどのようにブラッシュアップされていったのかも見どころです。

いつも通り、「動画」×「文章」の形式でお届けしていきます。
これによって、より詳細に各セレクターの選択を解説できると思っています。ディーヴァセレクションのおもしろい部分を少しでもお伝えできれば幸いです。

以下の流れで解説していきます。

  1. 各デッキの紹介
  2. ゲームのハイライト紹介
  3. ゲーム総括

決勝戦の動画がコチラ↑

まずは一度動画を見てみてみてください。
試合全体の流れを把握してからハイライト解説を読んでいただくと、より理解が深まると思います。

01.各デッキの紹介

「フェゾーネ DIVA with 電音部」環境の総決算とも言うべき「ディーヴァグランプリ7th」。
その決勝戦に駒を進めた一人は「hyakko」選手。
トーナメントシーンで名前を見ない日は無いんじゃないか!? というレベルで勝ちまくっている、ウィクロス界のご意見番(僕命名)です。
なんとディーヴァグランプリ3回目の決勝進出(スゴい)。
3度目の正直で初の栄冠を掴めるのか、はたまた2度あることは3度あってしまうのか……。

相対するは「ノブ」選手。関東を中心に活躍するプレーヤーで、プリパラをこよなく愛している印象です。
直近では《奏月の巫女 タマヨリヒメ》のデッキで結果を残しており、かくいう僕も、ノブ選手のデッキに採用されていた《コードアート Dスペンサー》に感銘を受けて本大会で使用したサシェが完成したという経緯があります。

両者のデッキ選択ですが、hyakko選手は代名詞と言える「白みこみこ」。ノブ選手はさらにブラッシュアップされた「白単タマ」を持ち込んでいます。



まずは両者のデッキを簡単に見ていきましょう!!

hyakko選手:みこみこ:動画(左側)

センター:みこみこ アシスト:エクス、ゆかゆか

hyakko選手の使用デッキは、「みこみこって200種あんねん」の内が一つ、通称《白みこみこ》です。
このデッキは別の色を採用したみこみこと比較して、よりエナを与えないことに特化しています。

《聖天 ラグエル//ディソナ》を無理なく採用できることで、従来の《小砲 バクチク//ディソナ》《幻獣 ワウルフ//ディソナ》よりも、相手に与えるエナを絞りながら攻めることができます。
加えて《ゆかゆか☆どじゃーん》がさらなるリソース奪取を担ってくれます。
手札もエナも少ない状況下では苦渋の選択となることでしょう。

WXDi-P13-059 WXDi-P06-023

防御アシストの構成は《エクスクロスファイア》《ゆかゆか☆どじゃーん》の2面防御です。
爆速で駆け込んでくるディソナルリグも一定数存在する環境ではちょっぴり心もとないですが、高めのパワーラインと序盤からエナを与えない戦法で相手の攻め手を緩ませていくことで補っています。
逆に、相手のエナ破壊の影響を受けることなく安定して両方のアシストを使用できる点は環境にマッチしています。

レベル3グロウ後は《みこみこ☆さんさんまぜまぜ》の出現時効果から、ゲーム1能力+《不穏☆FU☆ON!》《羅菌姫 ミコオシ//ディソナ》による一気呵成のリソース奪取でゲームの主導権を掴みます。
そして、このデッキの真骨頂は《GO TO the TOP!》の存在です。
みこみこの苛烈な手札破壊に耐え切れず、ついうっかり《ゼノ・クラスタ》を使用してしまったが最後。突然の3エナ破壊によって大型の防御アシストにグロウできぬままゲームセットと相成ります。

WXDi-P01-001

当時は基本的にみこみこの通常ピース枠は《ゼノ・クラスタ》《ディソナンス》という認識だったので、この初見殺しは本当にクレバーです。
当日は相対したほとんどのセレクターが《ゼノ・クラスタ》の使用タイミングを後悔したことでしょう。
僕の個人的な嗜好としても、高速でリミット8を作ってガチガチの盤面で戦うデッキは好みなので、ぜひ試してみたいです。非常に洗練された美しいデッキだと思いました。

相対するノブ選手のデッキのセンターは《奏月の巫女 タマヨリヒメ》です。
現環境で流行している《カオス!chaos!混沌!》を採用した「カオスタマ」と呼ばれるタイプとは多少異なる構築になっています。

目を引くのは《マキナネビュラ》の採用です。
デッキこそ選ぶものの、パワーを問わないバニッシュと自身のデッキ回復を一挙にこなすことができます。
この点は《ウルトラスーパーヒーローズ》《カオス!chaos!混沌!》《Instigate》を駆使して、ゲームを通してギリギリ1回のリフレッシュを狙うようなデッキに突き刺さります。
環境的にもこのプランを搭載したデッキは数多く存在したので、リフレッシュ直前に突如として回復していくデッキに涙をのんだセレクターは多かったのではないでしょうか?

WXDi-P05-019

ドリームピースには《スプラッシュフィールド》を選択しています。
このピースによって獲得できる各種バリアは、堅牢な盤面形成が得意な「白軸タマ」の守りをさらに引き上げてくれます。
シグニ回収能力やトラッシュ送り能力は状況に応じて使い分けができるので、非常に取り回しの良い1枚になっています。

WXDi-P14-001

メインデッキでは《聖天 アークアテナ》の4枚採用に注目です。
昨今では対「白軸タマ」のプレイングが洗練されてきており、《聖英 タンゴカード》《オーバー・パシュート》で簡単に除去できるレベル1のシグニは基本的には立てて貰えません。
そのうえでパワー8000のレベル2の採用が増えている傾向にあり、《ダークネス・セブン》《聖英 タンゴカード》による除去も効き難くなっていました。
そんな環境下で、この《聖天 アークアテナ》の採用はかなりスマートな選択です。

WXDi-D08-019

また、ルリグデッキのカードに白以外のエナコストを必要としないのも嬉しい点で、自然に《聖将 トキユキ》を採用できることで、相手の《小砲 バクチク//ディソナ》への耐性がある点も見逃せません。ここは従来の「カオスタマ」との明確な差別点だと考えています。
直近の流行にコミットした、新たな《奏月の巫女 タマヨリヒメ》の形だと思います。

02.ゲームのハイライト紹介

ここからは、試合中のハイライトを振り返っていきます。

繰り返しになりますが、まずは、動画を一度見て、試合の流れを掴んでから読んでいただくと理解が深まりやすいと考えています。

さっそく、いってみましょう!!


「オープン!!」

ハイライト①:ダメージレース感の推測(0:00:10)

この決勝戦解説記事では恒例の、オープン時のダメージレース感覚の整理です。
毎回書いているので見飽きたかもしれませんが、ディーセレというフォーマットにおいて早い段階から試合展開を推測することは、勝敗に直結するレベルで重要な行為です。

自身の手番(先攻or後攻)と対戦相手のアシストの並び、環境における流行の情報があれば、ある程度の試合展開は推測することができます。
そのうえで「打点」「リソース」「盤面強度」のどれを優先すべきなのかを明確にできれば、より勝利の期待値が高いプレイができようになるでしょう。

ウィクロスアカデミーの生徒の皆さん!! 最初は間違ってても良いので、このダメージレース感覚の推測は行うようにしましょう。
絶対に見える世界が変わってきます。

  • sideタマヨリヒメ(先攻)

自分がタマヨリヒメ側の立場なら、5ターン目の決着を前提としたゲームの組み立てを行うと思います。

対面のレベル1アシストに除去が無いことから、序盤のダメージを抑えやすく多くのライフクロスを残せる展開に持ち込めそうです。
先んじてレベル3にグロウできるので、《聖天姫 エクシア》《コードハート リメンバ//メモリア》によって、ライフクロスを攻める要求値を増加させられます。
安定して5ターン目を迎えることができるでしょう。

また、相手の大型防御アシストが《ゆかゆか☆ぶっぶー》であれば、《奏月の巫女 タマヨリヒメ》の効果により機能させない展開にも持ち込めるので、コチラの5ターン目での決着が狙いやすいのかなと考えています。

しかし、考えるべき要素がほかにもあります。それはリソース不足です。
「白みこみこ」はほかのデッキと比較しても徹底的に手札・エナのリソースを絞ってきます。
そのうえで、コチラの防御アシストが《マキナネビュラ》《ピルルク/D-M》とグロウコストの時点で若干重めの構成となっているため、《ピルルク/D-M》の追加ドローにエナを回す余裕はなさそうです。
また、《カオス!chaos!混沌!》型とは違い、手札を奪われたあとの盤面形成には若干の難があるので、リソース回りには細心の注意を払わないと相手への打点や防御の手が緩むなど、理想とはほど遠い盤面で相手にターンを渡してしまうことになりかねません。

  • sideみこみこ(後攻)

自分がみこみこ側の立場なら、後攻4ターン目の決着を前提としながら、《羅菌姫 ミコオシ//ディソナ》《羅原 ミルルン//ディソナ》などのライフバーストの機嫌が良ければ5ターン目の決着に舵を切るようなゲームの組立てを行うと思います。

相手のタマヨリヒメのアシストに緑色のルリグが存在しないため、エナ絞りは有効に働きそうです。
ルリグの連続攻撃のためのエナを捻出させないことで相手の攻め手を緩めることにも繋がります。
いざとなれば《GO TO the TOP!》で根こそぎエナを奪いながら、《サーバント #》をサーチすることで、1ターン貰えそうな点も含めて、試合展開に合わせて臨機応変に立ち回れそうです。

とは言え、《聖天姫 エクシア》を絡められて、泥仕合になってしまうと、ルリグが継続的な攻め手段を有しているタマヨリヒメ側に天秤が傾きかねないので、ゲームを冗長化させないことは意識したいです。

白みこみこの面目躍如!!苦渋の選択を迫るアタックフェイズ(0:05:52)

こちらでは一つの分岐点がありました。
それは、みこみこ側の2点要求をアシストにグロウして守るか、スルーするかです。
この際、《マキナネビュラ》はトラッシュのカードが不足しているので、この局面では《ピルルク/D-M》にグロウするか否かです。

アシストルリグをグロウするメリットはリミットの増加です。
ある程度豊富な手札に加えて、《奏月の巫女 タマヨリヒメ》登場時の回収効果もあるので、ゲームを通してもっとも理想的な盤面が形成できるのが、続く3ターン目になります。

このタイミングで《コードハート リメンバ//メモリア》《聖天姫 エクシア》を多面展開できれば、次のターンに《不穏☆FU☆ON!》やみこみこのゲーム1能力で除去されたとしても、前者であればエナへの負荷、後者であればシグニ攻撃不可と相応の代償を要求できます。

そのうえで《ゼノ・クラスタ》《スプラッシュフィールド》のシグニ回収効果での盤面再展開が狙えます。
かなり泥沼の長期戦展開になることが予想されますが、みこみこ側の手札リソースもそこまで潤沢なわけではありません。
《幻水姫 シィラ》が4枚投入されていることもあり、手札の削り合いに持ち込むというIFルートはあったのかもしれません。

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とは言え、そうは問屋が卸さないのが「白みこみこ」の強さであり、トーナメントシーンであっても常勝を続けるhyakko選手のプレイングが垣間見える部分です。

本来であれば、ちょうど2点要求ですし、《ピルルク/D-M》で綺麗に守りたいシーンです。
しかしここで防御で3エナを使ってしまえば、次のターンに攻めるためのエナが不足してしまいます。
ここで《蒼美 ふたせ//ディソナ》のアサシンと、《開園の合図》によるあとからのバニッシュが効いてきます。

しかも、前のターン《蒼美 ふたせ//ディソナ》のアタック時で《小砲 バクチク//ディソナ》を捨てています。
《マキナウィングスラッシュ》の存在や、公開領域にはパワー5000以下のシグニしか出ていないことから、《小砲 バクチク//ディソナ》の活躍はまだ見込めることは明らかな状況での選択です。

これには「そう簡単にエナは与えないぞ」というhyakko選手の無言の圧力を感じました。

もう1エナあれば、《ピルルク/D-M》にグロウしたうえで、実際の試合でも行われていた《聖天 アークアテナ》からの《オーバー・パシュート》による及第点の攻めができていたと考えると、プレイングが光ったシーンでした。
続くターンに《幻獣神 LOVIT//ディソナ》による更なるエナ破壊の余地を残せたのも大きいです。

クライマックス!! 情報の重さが身に染みる一幕(0:16:35)

ノブ選手の4ターン目です。
前のターン、《ゼノ・クラスタ》によって駆けつけた《サーバント #》と、《幻水姫 シィラ》の値千金のライフバーストにより、1枚のライフクロスを残せた状態でターンが帰ってきました。
これによって《スプラッシュフィールド》のルリグバリアと《ピルルク/D-M》の2面防御によって、防御が成立する状況です。

そう、《GO TO the TOP!》のエナ破壊を考慮しなければ。

hyakko選手の最後のピースを知っているか否か。この情報の有無によってこのターンに選択した行動は大きく変わっていたでしょう。

どうせ焼かれるエナだと分かっていれば、《ミラクル・ドロー》の回収効果を使用することで、より理想的な盤面が組めていたやもしれません。《聖天姫 エクシア》などを引ければ、5ターン目は掴めていたことでしょう。

結果として、《スプラッシュフィールド》をトラッシュ送り+ルリグバリア獲得のモードで使用することでしっかりと3面要求を行いつつ、2エナを残すことで1面でもバニッシュされれば《ピルルク/D-M》での防御が成立する状況を作り上げてターンを渡しました。

この局面でのルリグバリアは非常に強力で、最後のライフクロスからライフバーストが捲れることを考慮すると、エナを与えず3面要求することを強要できています。
《GO TO the TOP!》を割り切るもしくは計算に入れないのであれば最善に近いプレイだったと思います。

とは言え、返す刀で綺麗な3面要求+《GO TO the TOP!》及び《羅菌姫 ミコオシ//ディソナ》によって手札エナ全てのリソースを奪い尽くし、hyakko選手が3度目の正直でディーヴァグランプリ優勝の栄冠を手にしました。

03.ゲームの総括

一見すると地味なゲーム展開にも思われますが、細やかなプレイが光る試合でした。

個人的には解説でも出てきた、みこみこの後攻2ターン目に《小砲 バクチク//ディソナ》ではなく《開園の合図》で要求したシーンに痺れました。
「白軸タマ」対面は基本的にはエナを貰えないという背景も踏まえて、僕含めてほとんどのセレクターは《小砲 バクチク//ディソナ》で要求してしまうような気がします。
ここは長年みこみこを使いリソースを奪いつくしてきたノウハウが活きたシーンだと思います。

最終ターンとなった4ターン目も、サラッと1ターン目からずっとキープしていた《コードメイズ ペイラビ//ディソナ》が満を持して登場し、フィニッシュに貢献してくれました。
これも、「白軸タマ」相手には《コードハート リメンバ//メモリア》《聖天姫 エクシア》の対処に必要となる札ですので、そこを理解して手札に維持できる練度の高さが伺えました。

タマヨリヒメ側も、苦しい展開ながらもしっかりと相手への攻めを組み立てられており、《GO TO the TOP!》の存在さえ風の噂でもなんでもいいので耳にできていれば、違った結末もあり得たのかなと感じました。

終わりに

いかがでしたか?

ディソナ編であまりにもゲームスピードが速くなりすぎて、若干心配でしたが、「フェゾーネ DIVA with 電音部」環境終盤で遂に、5ターンを中心とするゲームスピードに戻ってきてくれて個人的には嬉しいです。

ブルアカ環境ではさらに序盤の盤面強度が向上すると考えているので、今以上にどっしりと構えて戦う環境になるのではないかと予想しています。

今後の「夢限少女杯予選」でどのようなデッキが勝ち抜いてくるのか、今から楽しみです。

以上です。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!!

タカラトミーモール